淡い夜をカクテルと共に。

二人微笑んで ページ14

「アーヤ……ほんとに？」

翼は、少しだけ掠れた声でそう言った。
目を見開いて、私をじっと見つめている。

「うん……そうだよ」

何だか恥ずかしくなってしまい、小さな声になった。
告白の返事というのは、本当に大変なものだ、と頭の隅で思う。

途端、翼はくしゃりと笑った。

心から笑っているように見えた。

「俺……この前アーヤからブルームーンを貰ったとき、正直終わったなって思ってた、……でも」

「…うん」

みんなが翼の言葉に耳をかたむけた。

「ブルームーンが好きになっちゃった。アーヤ、ホントにありがとう」

「……うんっ」

引っ込んだ涙が、また潤いを取り戻す。
私はとことん涙腺が緩いみたい。

「しゃあねーな。美門に譲るよ」

若武が翼を見て言った。
真剣な目だ。

「もともとお前のじゃねーだろ」

ごつん、と上杉君が若武の頭を容赦なく叩いた。
頭を抱える若武に、みんなの頬が自然と緩んだ。

……やっぱり、好き。

翼も、

KZのみんなも。


喧嘩をしだす二人を見ながら、私はそんなことを思った。

あと、

ずっと、こんな風な関係でいたいな。


翼がこちらを見た。

優しく微笑まれる。
これからよろしくね、なんて言ってるような気がした。

だから、

私も微笑み返した。

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