自由きままに考える小説の作り方。

【雑談】色あせない作品達の主人公 ページ47

今回は完全に雑談です。

　最近、私はライトノベルよりも海外小説を読むのにはまっています。というのも、海外小説って日本にはない独特な感じがあるので、その雰囲気が非常に好きなんです。

　そういえば、私は読んだことはないのですがフランケンシュタインという小説を皆さんはご存知でしょうか。最近、この小説の特集が組まれているのを見たんですけど、やはり200年近く名前を残すだけの作品でした。寝る直前でしたので、最後までは見れませんでしたが。
　どこが、すごいのかと問われると主人公であるフランケンシュタインは無知なんです。その無知ならではの幼子のような行動をとるんです。例えば、炎が暖かいことを知ってはいますが、それに触れると痛いということを知りません。しかし、彼は幼子のようでありながら幼子ではありません。無知なりにさらに思考を掘り下げていくのです。
　ですが、当然その無知を書いている作者は無知ではありません。大きな矛盾なんです。

　さて、ギャスターヴ・フローベールという作家の代表作「ホヴァリー婦人」という作品を皆さんは知っていますか。19世紀フランス文学の名作と位置づけられているようです。
　この作者は男性なのですが、この作品の主人公はエマ・ボヴァリーという地方婦人、要するに女性です。しかし、この作品はその地方婦人を驚くほどに鮮明に描かれていました。彼は男性なはずなのに。
　あるとき、「どうして地方婦人から見た世界をここまで鮮明に描けるのか」という質問を受けたとき、彼は答えました「私は、エマ・ボヴァリーです」と。
　という話を「アルジャーノンに花束を」という作品の序盤に書いてあり、物書きの端くれの私もひどい感銘を受けたので、勢い任せに筆を取り今回こんなことを書いています。

　小説と言うのは特に書き手が主人公になってこそ、本領を発揮するのかもしれません。客観的に覗くだけの作品より、主人公達に寄り添う物語の方が心を惹かれるのは私も同じです。
　名作、文豪、そう呼ばれる彼らの作品には無意識のうちに主人公達に寄り添う姿勢というのが見て取れます。芥川龍之介、太宰治、夏目漱石、森鴎外、どの作家の作品もまるでその場にいるような鮮明な光景を浮かばせてくれます。それは恐らく彼らが主人公になれているからでしょう。
　私達は彼らではありません。ですが、そういい切れるほどに「なりきる」こと、それが人を惹きつける作品の条件なのかもしれません。
　

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