【自由への旅路】The Fateful Enncounter 1 【企画小説】 (ページ4)

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【柘榴】御影灯芽の場合ページ4

なんとかアジト近くまで辿り着いて、しばらくゼエゼエと肩で息をする。
右手には、少女の重みがあって、思わず宙を仰いだ。

「ああ！連れてきちまった……！」

団員でもねえ部外者を、と叫んだところで、ふと気づく。

「あ、でもお前獣忌だからいっか」

そもそも獣忌じゃなきゃ連れて帰らねえし、獣忌ならこれから団員になる可能性もあるし、全然オッケーだろ、うん。
と、一人うんうんと頷いて納得する。

少女を見ると、何か怯えたような、引いたような、ちょっと距離のある表情でこちらを見上げていた。
口は動いているし、音のようなものが口から飛び出ているので何か話しているのだとは思うが、肝心の意味が分からない。

聞いてみっかと、引き摺られてきて座り込んだままの少女に目線を近づけた。

「なーなー、お前らさっきから何て言ってんだ？俺全然わかんねぇ」

しゃがみこんで首を傾げて見る。
と、少女も首を傾げた。
これは、とサンはピンと状況を察した。

「もしかして何つってんのかわかんねえの？」

少女とその胴体に巻きつく白い大蛇は話が通じているようだが、サンの言葉は、サンが少女の言葉がわからないのと同じように通じていないらしい。
だとしたらこいつが話してるのは蛇語か？なんて益体のないことを思う。

それはさておき、さてどうやって意思疎通をしようか？
うーんと悩み始めたサンをよそに、少女は荷物をがさごそと漁っている。
そして取り出したのはスケッチブック。
それを開くとさらさらと何か手慣れた様子で書きつけていく。
なんだ？もしかして字の読み書きは出来るのか？と、思っていたら、どうやら違うらしい。
少女は絵を描いていた。
何してんだろ？と怪訝に思って見ていたのは最初の内だけ。
完成が近づくにつれ、そんな疑問は霧散して、描き終えた絵を見せられた時には思わず歓声を上げてしまった。

「おおおー！すっげぇ！上手いなお前！」

そうしたら、肩をビクッと跳ねさせていた。驚かせてしまったようだ。