二輪 ページ2
「ほらー、席ついてー!授業始めるわよー」
教室へと堂々と入ってきた先生の声に従って席に着く。ちらりと斜め前の席に目をやっても、そこには誰もいない。
『...今日も来ないね...』
「...なんでも、とある事件にてこずっているらしいわよ...」
『...へぇ〜、あの新一くんがねぇ〜。珍しいね...』
「...工藤くんってやっぱりそんなにすごいのか!?...」
「...何言ってるのよ、世良ちゃん!すごいも何も、蘭の旦那よ?すごくないわけないじゃない!...」
「...あはは、そうだよね...」
「じゃあ、ここ!!八雲さん!」
『うえっ...』
こそこそと、蘭、園子、世良ちゃんと今はいない、工藤新一のことについていつものように会話をする。……今日も来ない、かぁ。
そんなことをしているうちに、先生にあてられてしまった。
『内容は光源氏の一生、でしたよね?』
「んーまあ、だいたいあってるわね」
『...大体って何ですか、まったく...』
それより古典は大の苦手だってば。だから、理系に進んだようなものだし。いくら潜入とはいえど、文系に入れるとか、何の嫌がらせだよ。降谷さん……。
「はい、じゃーここ!世良さん」
すらすらと答えていく世良ちゃん。うわ〜すごい。さすが、探偵をやるだけある。物知りだ。
回答には必要のない予備知識まで答えちゃうもんだから、先生も感嘆の声を上げている。
そんなこんなで世良ちゃんが授業を潰してくれた。ラッキー!!
「あら、もうこんな時間なのね、それじゃあ、今日の授業はここまでー」
『やったねー、世良ちゃんありがとおおおお!!!』
「いや、僕も喋るの楽しかったし、お安い御用だよ」
「世良ちゃんのおかげで楽しい話も続けられたし?」
『蘭の赤面も見れたことだしー?』
「質問攻めと行きましょうか!」
「ええ!!ちょっと園子も紫もやめてよー!世良ちゃん、この二人とめてー!」
「あはは、僕にはちょっと無理かなー?」
「もう!!世良ちゃんのイジワルー!」
時間の許す限り、蘭に質問をしまくる。
最近どうなのー?とか、新一くんは今具体的にどういう事件を扱っているのかー?とか。
事件の話になるとやっぱり女子高生探偵として、世良ちゃんも気になるようで。話に食いついてきた。
「へぇ、今は海外にいるのかー」
『そりゃあ、帰ってこれないよねぇ』
「まったく、蘭をこんなに待たせるなんてアイツも……!」
一人怒っている園子を呆れ顔で見ていたのはいうまでもないだろう。
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