始まりは監獄墜落05 ページ5
「(…地球か)」
「ン?待てヨ…というと、あんたら観光って事はあれでも見に来たノ?」
「あれって?」
「知る人ぞ知る、難攻不落で脱獄不可能とされていた『宇宙一の監獄』、」
「オイ団長!」
「ン?」
「此処に居やがったか。探したぞ」
青年が『宇宙一の監獄』について切り出すも、ちょうどそのタイミングで巨塔の方角から出現したガタいの良い中年男により遮られる。
青年は遮った男に気を害した様子を出さず、変わらぬ笑みで男の方を向いた。
「あ、阿伏兎。割と遅かったネ。あそこはどうだった?何か見つかった?」
「いやいやいや…見つかったとかじゃねーよありゃ」
どうやら中年男は青年の知り合いらしく、ありのまま己が見た光景を彼に説明するが、非常に顔色が悪い。
「なに、どうしたの」
「あんたに頼まれて目にしたが愕然としたぜ。監獄の中見たら看守囚人共々全員が酷ェ有り様で、特に矯正監といったら……うぷ…」
口元に手を当て今にも吐きそうな姿は、彼が見た光景の残虐さを物語っている。
「へーそこまで言うなら俺も見てくれば良かったナ」
「いやいやマジで止めとけって辛うじて生きてはいるが再起できるかどうか……」
「それで?襲った奴の特徴とかは聞いてないノ?」
「あー…幸運にも意識のあった奴が居て何でも『黒いローブの奴が…』どうのこうのって言うだけで………………」
顔面蒼白ながら説明に没頭していた阿伏兎と呼ばれた男も会話中、何気なくずらした視界に偶然入れた戌威族の男と、『黒いローブを着た人物』に気付き――――――、
「……おい、まさか」
己が述べた特徴にピッタリ収まった人物の存在に血の気が引いた。
「ほぼ間違いないだろうけど、一応聞いておこうか」
団長と呼ばれた青年は、今もなお爆発を繰り返す鋼鉄の巨塔を指差し、尋ねる。
「あの監獄、あんたがやったの?」
「……っ」
「別に。好きな方に解釈しな」
青年が監獄と称した巨塔に関する問いにいよいよ言い逃れが出来ず窮地にも似た危機感を覚える男に、敢えて否定も肯定もしない人物。
「アハハ!面白いネあんたは!今までみない種類だから興味が尽きない」
それが、かえって青年の興味を惹かせた。
「ああそうかい。つか、そこまで聞くってェのはなんだい。あの監獄におたくらの仲間でもいたのかい」
「ンー、一応は所属している所は同じだけど特に仲間意識とかなかったし。俺はただあいつが連行した囚人に強い奴がいるかと思って来ただけ」
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ハニー - アッこれすき。続き楽しみ過ぎます( ˙-˙ ) (2018年12月4日 11時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
麗威(プロフ) - 主人公の無敵さ、しかもギャグのセンスもあってある意味最強ですね! (2018年11月22日 18時) (レス) id: ad644a3a0a (このIDを非表示/違反報告)
ねゃむ^._.^(プロフ) - 早く物語の続きが見たいです!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: 6a8d27ee1a (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間に等しい(プロフ) - ねゃむ^._.^さん» コメントありがとうございます!できるだけ頑張ります! (2018年9月2日 2時) (レス) id: 2e4da08bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ねゃむ^._.^(プロフ) - とても面白いです!!ww早く次が見たいので更新お願いします!! (2018年9月2日 1時) (レス) id: 6a8d27ee1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力人間に等しい | 作成日時:2017年7月6日 1時