白夜叉達の救世主11 ページ27
「えー!!!それでは!!何所のどなたかは存じ上げませんが!!」
長の問いに敢えて答えず今まで使わなかった敬語を大にして叫ぶ奴に俺達はもう見守る事しかできねえ。え、マジで何が始まるのか皆目検討もつかねえんだけど…。
「…すいません。ひとつだけ、よろしいでしょうか」
「あ?なんだい」
「まだ名前も何も知らない方にこの様な頼みをするのは差し出がましいのですが…」
「うん」
「あの子達をどうか……」
「ああ、絶対ェ嫌だ」
「…え?」
「何で自分が見ず知らずの若者の尻拭いなんざせにゃいけねェんだよ。あとな、悪趣味なんだよ」
「!」
「あの銀髪の少年にどんだけトラウマ植え付けんだ。天導衆もそうだが、さも全部分かってましたよ、なんてスカした顔で生きる事を諦めやがってよ」
「……」
「そういやあんた寺子屋の教師してんだってな」
「!え、ええ…」
「どうせあれだろ。授業じゃけして諦めずに頑張ってくださいとか、諦めなければ何とかなる、道徳染みた事散々言ってきたんだろ」
「…そう、かもしれませんね」
「そう言った当人がすぐ諦めるたァ何事だ。運命だ?定めだ?そういう固定概念の塊が特に大っ嫌いなんだよ。受け入れるなんてのを建前に変えようとする意志すらねえ」
「……」
「ホントは生きたいくせに。生きてホントは奴らの成長を見守りてェくせに」
「…ええ、ですが…」
「いいじゃねェか、それで」
「…!」
「好きに生きて何が悪い。願望を持って生きるのの何が悪い。こちとら何の意志もなく勝手に生まされたんだよ。それぐらいの権利持ったって罰なんざ当たらねェよ」
「…っ」
「あんただって本当は片隅にでも一抹の希望持って待ってたんだろ。奴等は勿論―――自分すらも救ってくれる救世主の登場をよ」
「…ええ」
「まあ残念ながら来たのは救世主でも英雄でもない。ただの盆暗だがな」
「…いいえ、そんなことありません。貴方も……立派な救世主です」
「ハッ、まあいい。さっさとこれ片付けて後は好き勝手に生きてくれ。ただ今度こそは奴等に見つからないよう対策でも考えてな」
「……ふふ。肝に銘じておきます」
「はーい!それでは一名様、空の旅にごあんなーい!!」
奴が声を大にして叫んだ直後、数秒の間があった。その際に奴は先生の顔に耳を傾けていた後ろ姿から先生と会話してたのはわかる。
だが、俺は驚いた。
奴の背中の隙間から見えた先生の……すんげえ満ち足りた穏やかな笑み。
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ハニー - アッこれすき。続き楽しみ過ぎます( ˙-˙ ) (2018年12月4日 11時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)
麗威(プロフ) - 主人公の無敵さ、しかもギャグのセンスもあってある意味最強ですね! (2018年11月22日 18時) (レス) id: ad644a3a0a (このIDを非表示/違反報告)
ねゃむ^._.^(プロフ) - 早く物語の続きが見たいです!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: 6a8d27ee1a (このIDを非表示/違反報告)
無気力人間に等しい(プロフ) - ねゃむ^._.^さん» コメントありがとうございます!できるだけ頑張ります! (2018年9月2日 2時) (レス) id: 2e4da08bd8 (このIDを非表示/違反報告)
ねゃむ^._.^(プロフ) - とても面白いです!!ww早く次が見たいので更新お願いします!! (2018年9月2日 1時) (レス) id: 6a8d27ee1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力人間に等しい | 作成日時:2017年7月6日 1時