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第4話 ページ4

「…えっ、わ、悪いよ」

「いいって。もう決めたから…送ってく」





目を合わせず、なるべくぶっきらぼうにそう言い放った。
言い出したのは自分なのに、なんだかものすごく恥ずかしくなってくる。






「お、お金……、乗り越し用のお金払うよっ」

「はっ!?やめろよ…!女に財布出させるなんてダセェだろ!」

「じ、二郎くんはダサくないから、かっこいいから、」

「だっっっからそうじゃなくて!」





ガン、と手前にあった柱に頭をぶつける。
周りの人からの視線が少々痛かったが、そんなものは今どうでもよかった。

…なんだ、こいつ。
いや最初から思ってはいたが、やっぱりどっかズレてやがる。
俺のこと、…かっ、こいいとか、連呼して。





「…気持ちは、嬉しいけど。そんくらい自分で出せるから。俺が言い出したことだし」

「………うん」





それでも納得していないような顔で、Aが頷いた。
思ったより強情なんだな、と二郎は思う。
ぷくっと膨らんだ頬を突いてやりたい衝動に駆られたが、電車の中だということを思い出してやめた。

きっとまた顔を真っ赤にして自分を見上げるんだろうな。
そう考えると、恥ずかしいような嬉しいような、堪らない気持ちになってくる。




(…友達から、とか都合のいい断り方しといてこれとか。俺って狡いヤツ………)






悶々としながら電車の揺れに身を任せる。

時折触れ合う肩の位置の低さ、伝わる体温の高さ、至近距離でよりハッキリと鼻に届くシャンプーの香りが、ひと時たりとも二郎の心臓を休めることはなかった。





「………あ、駅、ここ」

「ん」




いつも二郎が降りる駅の、ひとつ向こうの駅。
あんま来たことねえな…と思いながら、人の流れにのって電車を降りた。




「ほ、本当に大丈夫なの?お金……」

「だぁから、気にすんなって!たかが10円だぞ」

「10円を馬鹿にしちゃダメだよっ」





積もり積もったら100円になるんだから、と言うAがなんだかおかしくて、二郎は思わず噴き出した。





「な、なんで笑うの」

「悪い…面白くてつい」

「お、面白くない!」

「はいはい」




宥めるようにAの頭を撫でると、またみるみるうちに顔が真っ赤に染められていく。
ちょっとだけ悪いことをしてしまったような気分になり、すぐに手を離して「ご、ごめん」と謝った。







「…二郎くんは、誰にでもこういうことするの…?」

「ばっ…!?し、しねえよ!だ、からごめんって!」

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きなこのおもち - 続きが読みたああああああああああああああいっ(3号) (2021年4月14日 18時) (レス) id: ad902136ca (このIDを非表示/違反報告)
猫目院 - 続きが読みたああああああああああああいっ(2号) (2019年2月24日 22時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
honey - 続きが読みたああああいっ (2019年1月17日 22時) (レス) id: 09377c9166 (このIDを非表示/違反報告)
Hikaru(プロフ) - ひゃああああああああああああああああああ続きとても楽しみです…じろちゃんかわいいです…二人ともかわいいです…ありがとうございます。更新楽しみにしています! (2018年11月18日 9時) (レス) id: e608e16629 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 雪姫さん» 喜んでいただけてこちらも嬉しいです!やる気出ます(⌒∇⌒)頑張ります! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 6eacf233b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りの | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年7月24日 2時

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