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氷の女王4 ページ19

ジョークも程々に、夜は更けていく。客も次第にまばらになり、残っているのは眼鏡と顎髭と歌手とピアニストだけとなった。マスターはカウンターでグラスを磨いている。
「お前、こんな時間まで飲んで大丈夫なのか」
時計はとっくに十二を回り、ほとんどの者は翌日の仕事のために帰った。眼鏡は顎髭の世話を焼くのがどうもくせになってしまっており、この時間まで付き合っている。
「その言葉、そっくりそのまま君にお返しするよ。僕は定年退職済だからねぇ」
考えてみれば、そうか。いつまでも話し方や調子が変わらないものだから、年齢を重ねていることを忘れてしまっていた。そう、顎髭と眼鏡は大体同じくらいの年の頃。出会って三十年にもなれば、退職時期にも差し掛かる。
眼鏡は自分がコンサートホールの管理者を続けているものだから、てっきり顎髭もまだ働いているものだと思ってしまった。
「そういえば、ついぞお前が何者なのかわからなかったな」
「君が聞かなかったんじゃないか」
言われてしまえば、それまでである。
会って三十年の月日が経てど、わからないことはあるものだ。
「さて、じゃあ独身貴族は放っておいて、俺は帰るか」
眼鏡は勘定をして帰った。

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作者名:九JACK | 作成日時:2019年10月25日 13時

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