Zionの花束を 11 (ページ21)

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氷の女王6 ページ21

眼鏡は翌朝、いつもより早く起き、ストリートへ向かった。ストリートはまだ奏者たちが集まっておらず、静かだ。
そこに歌声が聞こえる。歌といっても鼻歌だ。だが可憐さを感じさせる声だった。
聞き覚えがある。
「こんな時間に?」
「あら、おじさま。朝に歌うのは爽やかでいいものでしてよ?」
Zionの歌手の女性だった。鼻歌はポップに聞こえたが、彼女が作曲した昨日の歌だ。
「うふふ、昨日は遅いお帰りでしたのに、朝は早いんですのね」
「たまたまだ」
わざとだが、言う必要はあるまい。本人に「氷の女王」という呼び名に関する情報を聞くつもりはなかった。
こんな時間にここに来たのは、ストリート奏者を狙う低級な輩が活動する時間だからだ。
「いつもこの時間に歌っているのか?」
「毎日ではありませんけど、頻度は高いですね。静かな場所で歌うのが好きなので」
「バーの喧騒は嫌いか?」
「まさか! Zionは面白い殿方ばかりで楽しいですわ。おじさまも含めて」
「俺も含まれるのか」
何故だ、と思わず思った。

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