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歌への愛6 ページ14

「秋に寄り添う花のひとひら
風と共に散り逝き、貴方へ届きたい……」
切なさを掻き立てる詩が女性の声の持つ色と合わさり、心に沁みてくる。小川に入れた手が肌と水の境界を見失うような……そんな感覚。
それはこの店の名前でもある「Zion」と呼ばれる花のことを歌ったものだった。
Zionは別名「忘れじの草」。花言葉は「貴方を忘れない」というものだ。よく、「Oublie-mori」という花と対照して語られる。Oublie-moriは「私を忘れないで」という花言葉だ。どちらにも花言葉の由来となった物語があり、どちらも悲しく、人の死を描いたものだ。
だからこそ、この歌も哀しみを湛えているのだろう。
「貴方を忘れない

 その誓いがある限り

 私は歌い続く

 永久に声のある限り」

ピアノソロと遜色ないほどの柔らかい声が空間を満たしてZionの花のような薄紫色に染めていく。
感情が乗っているのであろう。歌手の声は静かでありながら、どこか熱情を孕んで感じられた。

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作者名:九JACK | 作成日時:2019年10月25日 13時

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