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みっともない話7 ページ2
そういう青年の憧れを持つ心というのを、眼鏡は好ましく思っていた。
憧れなんて、改まって抱いたことがない。夢なんて描いたこともない。ただ父の面影を追っただけの自分が、それこそみっともなく感じた。
昼間の仕事は好きでやっているし、こうしてZionに飲みに通うのも好きだ。音楽の中でもピアノが好きだから、ピアニストを引っこ抜いてくる。その役割は好きでやっている。
だが、それが夢見た自分の姿かというと、何か違う。やはり、眼鏡は自分の夢というものを描いたことがないのだ。子どもの頃から、少年、青年、壮年である今に至るまでずっと。
みっともない話である。今度八歳になる倅がいるというのに、自慢して語ってやれる夢の一つも持っていないのだから。そのくせ、倅には夢を持てというつもりなのだ。矛盾している。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年6月19日 22時