今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:782 hit
小|中|大
帰宅3 ページ13
妻は何も言わない。差し向かいになったということは言いたいことがあるのだろうが、やはり言わない。
静けさが眼鏡には心地よかった。だから、このまま話が前になんて進まず、二人でこの時間を過ごせてしまえたら、と考えた。
だが、妻がずっと黙っているわけでもなく、口を開いた。
「……夜」
その言葉には反応せざるを得なかった。聡明な妻とはいえ、気づかれているであろうと予測して呑気に構えているのと、実際に口にされるのでは大違いだ。
「仕事なんて早く終わらせて、さっさと帰ってきなさい」
言いたいことはそれだけだったのか、グラスを干すと、妻は寝室に戻った。
仕事を早く終わらせて、さっさと帰ってくる。それは不可能ではない。
だが、眼鏡にも付き合いがある。そんなことは妻も百も承知だろう。だが、妻は夫の遅帰りを全く気にしているわけではなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九JACK | 作成日時:2019年6月16日 2時