Zionの花束を (ページ23)

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約束通り1 ページ23

今日は早く仕事を切り上げた。というのも、部下がしゃきしゃき働いてくれるので、物事が円滑に進むのだ。いいことである。
夕方、空が赤く染まり始める頃に、Zionに向かった。
いつもより早い時間に召集されたピアニストの青年は、マスターから話を聞かされていたのだろう、少々緊張していた。
改めて、眼鏡の口からも語っておく。
「今日から、歌手との演奏になる。今朝見繕ってきたばかりだが……もう会ったかね?」
「はい、衣装を着替えてから、セッションする予定です」
がちがちに緊張する青年の姿に、Zionに連れて来られたときの自分の姿を重ねる。確か、こんなんだったな、と思った。
気休めにしかならないかもしれないが、眼鏡は口にした。
「そう気負うことはない。歌手の女性はZionの演奏のファンらしい。仲良くやってくれ」

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