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“君には才能がある。”
そんな夢のような誘い文句を真に受けて、私は今ここにいる。
4月、東京都内某所。都内にしてはやけに田舎臭いところにあるボロボロの校舎。それを囲むようにして植わっている植物。そして、木製の門。
“東京都立呪術高等専門学校”
力強く書かれたその文字に緊張して、汗が背中をつたった。
「…東京って、こんな暑いとこなんだ。」
緊張のせいだというのに、暑さのせいにした。確かに私の家より暑いけど、まだ春序盤だ。
カラリ、音を立てながら門を跨ぐ。そのまま道なりに歩き校舎の中に恐る恐る入ると、“1年生はコチラ！”というポップな看板が目に入った。
＿なんか、気が抜けたな。
「今年の1年、五条家の次期当主いるらしいぞ。」
「あと、反転術式の使い手も。」
「マジか！有望な奴らばっかだな！」
先輩だろうか、外から聞こえた会話に思わず聞き耳を立ててしまう。
五条家……？反転術式……？
とにかく、すごい人が居るのだろう。
ドキドキしながら教室のドアに手をかけて、ふぅ、と息を吐く。第一印象は大事だけど、恥ずかしいから何も言わずに入ろうかな。
「……え」
ガラガラ、とドアを開けて、頭に衝撃がはしる。それはそれは、思わず声を出してしまうほどに。
＿1年生って、4人だけなの?!?!
いくら1クラスだけとはいえ、30人くらいは居るもんかと…。1桁は想像していなくて、何度も机の数を確認するけど4つなのに間違いはなかった。
「ねぇ、もしかして香山A？
私家入硝子、よろしく。」
「あ、はい。香山です。
よろしくお願いします、家入さん。」
初対面で呼び捨ては何だか馴れ馴れしい気がしたので、さん付けで呼んでみた。クールな感じだから、ちょっと話しにくいかもしれない。
それにしても美人だ。横顔がきれいで様になっている。私なんかじゃ隣に並べないな。
友達と言うべきか、知り合いと言うべきか。一先ず、1人とは話せる仲にはなれた。
教室入って約2分。
私にとっては大快挙である。
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作者名：葉月 | 作成日時：2024年2月14日 22時
