【d!】平和な世界で永遠の嘘を Ⅰ (ページ38)

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貴女side

zm「_A、食べれる？？」

ボーッとする意識がゾムの声で目覚める
ゾムからトレイを受け取ってレンゲを持ち、目の前のお粥を掬った。

『ｺﾎｯ‥ゾムが作ったのかっ…？』
zm「そうやけど‥不味かったらごめん」

不安そうにするゾムを他所に俺はお粥を口にする、何一つ不味くないお粥に微笑んだ。

『美味しいぞ』

zm「ほ、ほんまっ‥？」
『嗚呼‥今まで食べたお粥の中で一番』
zm「それは嘘やっ‥!!」
『嘘だ』 zm「なんやねんっ!」

『ふふ‥でも旨いぞ？上手く出来て、る…ｺﾞﾎｯ』

咳き込みながら全てを平らげる
ゾムのお粥は旨いな、俺の中で一番は《弟》の料理だけど。

zm「他にして欲しいことない？」

『他か‥トランクから薬ケースを取って、くれ…中に入っているもの、だっ‥』
zm「薬ケース？ちょっと待ってな‥これ？」
『それだ、ｺﾎｯ‥すまん』

ゾムから薬ケースを受け取り開ける
区切られた薬の中から風邪薬を二錠取って箱を閉める、ゾムが用意してくれた水でそれを飲んだ。

zm「大丈夫？寝れる？？」

『大丈夫だ‥心配掛けた…』
zm「ううん、お大事に」
『おう‥』

ゾムが部屋を出ていき俺は意識を失った
目覚めたのは二時間後くらいで‥全身を蝕む汗に腹が立ち部屋を出た。

『そう言えば、コンタクトしたままか‥』

コンタクトとウィッグを外して風呂に入る
誰も起きていない深夜、自分の起こす風呂の水音しか聞こえなくて世界に自分だけが取り残されている気分になる。

風呂を出て着替え外へ出る
誰も起きていないだろうと思ったのが愚かだった、部屋へ行く寸前に声を掛けられる。

？「Aちゃん、やんな‥？？」
『っ‥』
ci「A先輩？その姿は‥」

俺を見て驚く二人
最悪だ‥言い逃れ出来ない、まさか女たらし(大先生)と詐欺師野郎が…

ut「Aちゃn(『黙れ』っ‥」
『この姿のことは誰にも口外、するなっ‥くっ…』

薬で抑えていた症状が現れて倒れ掛ける
そこを女たらしが受け止めて‥そこからの記憶はない、朝目覚めればベッドの上で荷物は椅子に置かれていた。

夢か？なんて疑ったがあれは現実だ
考え事をしながら俺はいつも通りの変装をする、風邪はゾムの看病のおかげでなんとか収まりつつある。

微妙に頭痛はするが‥元より回復力は高い
この状態なら動いても支障は何一つないだろう。

(続く)

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