6話 ページ7
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そうやって私は何度も男を取っかえ引っ変えするうちに学年中に悪い呼び名が広まった。それはとてもシンプルなもので片仮名3文字で事足りるビッチというもの。その頃にはもう恥なんてものは捨てていて廊下を歩くごとに陰口が耳に入ることなんて気にも止めていなかった。陰口が目立つようになった頃、私はここまでしてこの世界で生きている意味があるのだろうか、と自己嫌悪に陥り行動を改めたこともある。しかしそれは何の意味もなかった。透明になっていく住民票が私を動かすのだ。簡単に死んではいけない、と。どうやらこの世界で私が生を諦めることはタブーだったらしい。毎夜悪夢まで見るようになった。毎日毎日意識を落とすごとに違った方法で苦しんで死んでいく私の姿が投影されるのだ。痛みはなくとも流石に気分が悪い。諦めて元のビッチな私に戻ってからも寝るのが少し怖くなるほどにはトラウマになってしまったのだ。
そんなわたしが今の彼氏と出会ったのは去年の高校1年生のことだった。ビッチと揶揄される私に近づく男は早々いないので私は最初の1回を除いていつも自分から告白していた。そんな私に自ら近づいてきたのだから相当な物好きであることは簡単に推測できた。だけど予想を遥かに超えて彼は中々なクズ男だった。最初からお前ビッチなんだから俺が浮気しても気にしねぇよなスタイルで来られて初めは驚いたものだ。でも私はビッチと呼ばれるほどあって段々と男性の扱いに慣れていた。男は友達のように接することの出来る気さくな彼女よりも、時には叱ってくれる対等的関係を築ける彼女よりも、快活で自分のやりたいことを主張できる活動的な彼女よりも私の経験上1番好まれたのは大和撫子タイプの何でも言うことを聞き何でも許してくれる、そんな都合の良い女が1番好まれたのだ。だから私はそれに気づいた日からそのタイプになるよう努めていた。勿論この男に対してもそうした。そうするとやっぱり予想通りどんなに浮気を繰り返しても数日経てば私の元へと帰って来てはやっぱりお前が楽で良いと荒々しく私を抱くのだ。この男はビッチと呼ばれる私だから近づいたと面と向かって言ってくるほどの正真正銘クズ男だったが私はある意味都合が良かった。男が他の女に行っている間私は自由に過ごせたし一応彼女というポジションについているからなのか住民票が透けることもなかった。
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夢子(プロフ) - 続き待ってます!更新頑張ってください (5月11日 8時) (レス) @page32 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (5月5日 14時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
honoka - 続きが楽しみです❤応援しています! (2023年4月2日 10時) (レス) @page32 id: 31959a78cc (このIDを非表示/違反報告)
わかちゃ(プロフ) - 初めまして✨初コメ失礼します!!すごく大好きな作品です!これからも更新頑張ってください! (2023年3月4日 22時) (レス) id: b355fc481c (このIDを非表示/違反報告)
冷(プロフ) - 続きが待ち遠しい...。更新頑張ってください!応援してます。 (2023年2月19日 21時) (レス) id: dd9d21c513 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年1月29日 12時