ちぐはぐ【剣城京介】 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:4,636 hit

1-5 ページ5

■人柄

「俺を有名人にしてくれてるのか？
　そりゃありがたいね。」

「倉間は十分人気者だろう？」

　そう笑いあった二人。仲が良いのだろう、少しの会話だけでも互いの間に信頼関係のようなものが見え隠れした。同じ部活だからなのか、サッカーという共通の熱い想いを持っているからなのか。どちらにしろ、そういうことならサッカー部全体が信頼関係にあるということだ。

「お疲れ様です、倉間先輩。
　見学させてもらってます、転校してきたAAです。」

「おう、よろしくな。」

　練習中に部員同士が名前を呼びあっていた為、無事名前を覚えることが出来た。ちなみに神童先輩に見学することを伝えた後、転校生が部活を見学すると部員に伝達してくれており私を一目見ると軽く会釈を行ってくれた。しかし、この礼儀正しさからかサッカー部は人気らしく、他の女子生徒から鋭い視線を浴びた気がする。ここで倉間先輩が、ところで、と言葉を続けた。

「さっきなんの話してたんだ？
　俺がどうかしたのか？」

「見た目ほど怖くないって話してたのさ。」

「なんだと！」

　俺のどこが怖いっていうんだ！と怒りながら笑っていた。冗談で言っていることが分かっているようだ。はははっ！すまん！といわゆる男子中学生の戯れのようなやり取りをしていた。確かに目つきは悪いがこれだけ見ても倉間先輩は良い人だと分かる。

「ていうか、俺がそうなら剣城なんて尚更だろ。
　目つきもそうだが身長高いし制服なんて不良そのものだろ。身長高いし！」

　一年生のくせに！と身長が高いことをやけに主張した。確かに部室前でみた剣城くんは倉間先輩との身長の差が伺え、練習を見ている限りだとどうやら同じポジションらしい。ライバル心なのか成長期なのにという憤慨なのかは分からない。ただ気になった言葉があった。

「制服ですか？」

「まだ見てないか？
　部活後はジャージで帰ってるから、明日見てみるといいぜ。」

　初見なら俺は絶対近づかないね。身長高いから圧もすごいしな。と言い円堂監督から休憩の終わりが伝えられた。じゃあ戻るな、と一声かけ2人とも練習に戻っていった。最後まで身長を気にしていた倉間先輩だった。

next.

挿絵のようなものを追加しました。5話で一枚のペースで気が向けば挿みます。背景はあまり見ずに感じてもらえると助かります。