おめでとう、逝ってらっしゃい/shp ページ6
「センパイ、御卒業おめでとうございます」
「ありがとう、ショッピくん」
高校3年生の春、私は卒業を迎えた。この時期は皆、受験やら何やらで忙しく、私と同じ位のレベルだった友人が何時の間にかとても頭が良くなっていたり、とうとう3学期には学校が無くなってしまったりと卒業のブームが巻き起こり寂しい気持ちになる。
そんな中で私は勉強が嫌いだからと、取り敢えず落第して留年しないようにと目の前の後輩であるショッピくんに勉強を教えたりとか、同級生よりもショッピくんと過ごす時間の方が多くなっていった。
ショッピくんと仲良くなった要因は元々同級生で幼馴染であるコネシマという男に無理矢理サッカー部のマネージャーをさせられた所から遡る。コネシマとは中学は別だったのだが、何の因果か同じ高校になってしまい、「おう、Aやん。サッカーやろうぜ！」と有無を言わさず入部届けを書かされたのだ。
……某アニメの様な誘い方も兎も角として、マネージャーなのだからサッカーは出来ないという事に気付いてコネシマを殴ったのは言うまでもない。
そして2年目、コネシマの中学の時の後輩も無理矢理入らされたらしく其処で私達は出会ったのだ。
最初は無表情でどう接していけば分からなかったり、女の子にコネシマ同様絡まれて嫌になっていたのか私に対しては本当に冷たかったのだが、コネシマの幼馴染という事でこの2年間で本当に仲良くなったと思う。
「それにしても、もうこんな季節か……。高校に入学したあの頃が懐かしいよ。真逆あの頃は可愛い後輩が出来るとは思って無かったよ。私の制服がボタンが付いてたらショッピくんに第2ボタンあげてたのに。なーんて」
昔読んだ少女漫画の様に制服の第2ボタンを渡す等といった様なのがあったような気がする。まあショッピくんとは彼氏彼女の関係では無いし、絶対要らないよね。と冗談めいて言ったら、ショッピくんは一瞬顔を曇らせた。え、そんな顔を曇らせる程に欲しくないの？？
「……そうですね、センパイ。残念です。其れよりも、卒業祝いに俺の家で鍋パ、しませんか。丁度両親も居ませんし」
「ごめん、今日はコネシマと仲良い人で集まろうっていう話で……」
「駄目ですか？」
「ぐっ、仕方が無い」
顔が良い可愛い後輩に上目遣いされて落ちない人間は居るだろうか？否、居ないだろう。仕方が無いので連絡をしようとスマホを持つとショッピくんに取られた。
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