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「ねえ、私と付き合ってることになってるけど、あんたはいいの?」
「おや、ついにあのAも周りのことを気にするようになったか?」
「はぁ、あんたに聞いたのが無駄だったわ。」
「まぁ、本当のことを言うと、別に嫌ではないぞ?」
「はあ??ふ、ふざけないでよね!!私は嬉しくなんかないんだから!!」
グルッペンのニヤニヤとした笑顔がこびりついて離れない。こうしていじってくるのが本当に嫌で。まぁ、もうそんな気持ちになることはないのだけれど。
卒業したら、私はここから遠い大学に進学する。前回は母親がグルッペンに言って志望校が伝わったらしいので、嘘の情報を伝えてもらった。このままじゃ花の大学生活を謳歌することが出来なくなってしまう。それだけは避けたい。どうにかしてこの幼馴染から卒業しなければ。
「じゃあ、もう会うことはないと思うけど。また。」
「嗚呼、またな。」
ニヤッと笑うグルッペン。こうして笑う時は絶対に何かあるときだ。思わず構えてしまうが、もう会うことは無いのだし、と思いそのまま学校をあとにした。
数ヶ月後。無事に入学式を終え、部屋に帰る｡今日からここで一人暮らしだ。
ガチャリと鍵を開けると、なぜかコーヒーの匂いが漂ってくる。警戒しながら廊下を進み、そおっとドアを開けた。
「な、なんで。なんでいるの。」
「おかえりA｡遅かったな。」
どうしてだかソファに座ってコーヒーを飲むグルッペンがいる。一言で言って恐怖だった。
「まあ、おバカなAは俺に嘘を教えたくらいで騙せると思っているから混乱しているだろうが、志望校を知ることくらい簡単に出来るぞ?」
「な、なんでそこまでする必要があるのよ!私何かした?嫌がらせはもうやめてよ！」
思わず叫んでしまうが、そんな私を囲うようにゆっくりとこちらに歩みを進めるグルッペン。
「嫌がらせとは心外だな。俺はAと結婚するために追いかけてきているのだが。」
「結婚...?何言って、」
「小さい頃俺がこの見た目でいじめられていたとき、Aが助けてくれたんだ。その時約束しただろう?大きくなったら結婚しよう、と。」
驚きで固まっている私をそっと抱きしめてくるグルッペンと未だに信じることが出来ない私。
「そんなことしても、私が認めないわよ!」
「マアマア、今すぐに、という訳ではない。Aのことは、俺が1番分かっているからな。」
「俺から、逃げられると思うなよ?」
嗚呼、もうこの悪魔から逃げ出せる気なんてしないのだった。
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