大好きな君へ、送る言葉は【d!】【合作】 (ページ16)

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「待っててもいい？」
「へ、」

　ふわりと手のひらに輪郭を包まれる。無理やり前へと顔の位置を戻されて、再度視線が絡まりあった。

「私の、わがままだけどさ。待ってちゃだめかな、たらこくんが卒業するまで」
「それ、え……」
「だって、私もすきだもん。だめかな」
「……まっててほしい！俺、すぐ追いつくし！！え、ほんとに！？いいの！？」

　目元を撫でた、彼女の指を掴む。「落ち着いて」と綻んだ彼女の顔が伝える現実に、スカートがふわりと風に触れた。

「約束？まじで？」
「うん、やくそくしよっか」
「やっ……たぁ…………」
「でも留年したら無しだからね。たらこくん出席日数もギリギリだったって聞いたし」
「大丈夫！今年は皆勤賞！」
「ほんと調子いいんだから……」

　すると彼女が俺の髪を払って、制服の襟へ手をかけた。

「これあげるよ、私はもう使わないから」
「えっ、これAちゃんのリボン」

　しゅるしゅるとずれることなく胸元に結ばれていくリボンを眺める。

「ありがとう……」
「ちゃんと毎日付けて学校来なよ？」
「結び方わからんからAちゃん教えて」
「いいよ」
「よし、毎朝連絡する」
「それ覚える気ある？」

　戻ってきた日常の延長に目の奥がまたつんと熱を持つ。
　次の桜と出逢うまで、約束にはリボンをかけて。