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ぜんぶ吐いちゃいなよ〜なんなら先輩が練習相手になってあげよっか〜？とにやにやとなんとも憎たらしい笑みを浮かべる先輩にすっと目を細める。
これがチーノならぶん殴っていた所だ。
すう、とゆっくり息を吸い同じくゆっくりと吐き出していく。
「…先輩、卒業本当におめでとうございます」
『？あ、うん……？』
「今まで仲良くしてくれてほんまに楽しかったし、充実した高校生活を送ることが出来たのもぜんぶ先輩のおかげです。ありがとうございます、お世話になりました………でも、」
あ、駄目だ。
「もう、会えんく、なるとか…そんなん考えただけで、ほんまむりでっ、……おれ、もっとA先輩と一緒にいたい、これからも傍にいたいんです、すきやから……あなたが、だいすきやから」
こんな情けない告白にするつもりなんてなかった、腹を再度括る為に回りくどい問答までしたのに、一度溢れ出してしまった涙は止まらない。
柄にもなくぐすぐすと鼻を鳴らしながら上擦った声で想いを吐き出す。
自分は今どんな顔をしているのだろう、これじゃあ決死の告白というより悲痛な懇願だ。
「…ごめ、すみません、こんなカッコ悪くて…でも、本気なんで俺。初めて会った時から、ずっとせんぱいだけを見てました。俺と、付き合ってくれませんか」
なんとか落ち着きを取り戻しもう一度しっかりと彼女を見つめると途端に面食らってしまった。
ぽかん、と呆けた顔をした先輩。
しかしその顔は食べ頃の林檎顔負けな程真っ赤になっていた。
は？そんな顔出来るん？可愛すぎんか？
『あ、え、は……？』
「…返事は」
『えっ、あたし、もすきですけど』
「はっ、？」
『だからあたしもすきやって。よろしくお願いしますって。…なんや、失恋したかと思った』
赤みが引いていくのと引き換えにじわじわと目に涙を浮かべた先輩は安心した様にへらりと笑いながらビビらせんなよなあと俺の肩を掌で小突く。
それが堪らなく愛しくて、桜の木の下で思い切り彼女を抱き締めるというなんともドラマみたいな事をしてしまった。
柄にもない事ばかりするじゃないかと笑いたければ笑えばいい。
この幸せに比べれば、少しも恥ずかしくなどない。
(いとしいとしというこころ)
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