戀という字を分析すれば、/shp ページ11
まだ少し冷たい風が髪を撫でて、肌寒さに少し身震いした。
上を見上げてみると綺麗に咲き誇った桜の花が風に煽られてゆるりと揺れる。
ぼう、と眺めているとショッピくん！と自分を呼ぶ声がして、そちらに視線を向けると卒業証書の入った黒い筒を片手に胸に飾られた花の装飾を揺らしながら仲の良い先輩がこちらに駆け寄って来た。
「えらい早かったっすね。別れ惜しまんでええんですか？それとも先輩もしかして友達居ないんすか？」
『可愛い後輩からの呼び出しやから優先して走ってきたのにこの言われよう。最後までまじで可愛くないな、その口ひねきったろか？』
「暴力はんたーい」
もう、と溜め息をついたかと思えば今度はにやりと笑いながら筒を掲げ改めて、卒業出来ました〜！と嬉しそうに目を細める先輩。
おめでとうございます、と小さく頭を下げるとありがとう〜とますます笑みを深めた。
『で？用事ってなに？もう学校で会うん最後やし、お世話になった先輩に改めてお礼とか？』
「一周回ってそのポジティブ具合尊敬しますわ。……俺、すきな人おるんすけど」
『はっ？』
「今日、告ろうと思ってるんすよ」
『待って待って、まだ脳が与えられた情報に追い付いてない、えっ、ショッピくんすきな人おったん？いつから？全然気付かんかったんやけど？』
「先輩がもし告白されるなら、面と向かって告白されるのと、文面で告白されるのどっちが良いですか？それを相談したくて呼び立てました」
『全然話聞いてくれなくて草』
はァ…と小さく溜め息をつくとそうやなあ、と持っている黒い筒でリズミカルにとんとんと軽く顎を叩きながら思案している。どうやら諦めて深掘りするのをやめたようだ。
『あたしやったら、やっぱり面と向かって告られたいかなあ』
「なんで？」
『告白ってする方からしたらめっちゃ勇気いる事やん？それは口頭でも文面でも一緒やろうけど、あたし的には面と向かって口で伝えてくれた方が、より気持ちが伝わって嬉しいかなって』
「なるほど、参考になりました」
『まああくまであたしはってだけで、ショッピくんのすきな人はどうか分からへんからどっちでもええと思うけどね』
「いえ、直接告る事にします」
『決断早。……で？なんて告白するつもりなん？もう言う事決めてんの？』
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