が ページ2
「…そういやさ、私のノートに落書きしたの棘くん?」
「おッ!?おかか〜!!」
私は任務のメモや反省を一冊のノートにつけている。こう見えてまじめ。自分で言うな。
しかし先日、そのノートを机に置いたままにして帰ってしまった。
そして次の日、『そういえば』と忘れていたことを思い出し、何気なくペラリと捲ったあるページには目を見張る一つの筆跡。
「『悟と喋りすぎだよ、A』」
0.3のシャーペンと思われる、薄く細い線。正確には、筆跡というよりも一度書いて消した跡だけど。
彼はそれを書いたのは自分ではないと否定する。しかし甘いな棘くん。それが嘘だなんて、私にはすぐに分かってしまうんだ。だけど聞いてみなきゃ本当かは分からない。
胸の前で慌ててバッテン作って、机に『しらない』なんて書いても、ただ可愛いだけだよ。それに、君がやったんだって私が確信してしまうだけだ。
「私さ、棘くんの字ィ好きなんだよね」
棘くんの字は筆圧が弱くて線が細い、綺麗な字。
何気ないメモとか、二人でこっそり授業中に回した手紙とか、プリントの裏で白熱させたしりとりとか。
そんなことを重ねる内に君の文字くらい、分かるようになったんだよ。
君だって私の書いた文字、分かるでしょう?…なんて、自惚れかもしれないけれど分かっていてくれたらどんなに嬉しいだろうか。
あとね、好きなのは文字だけじゃないんだな。
「字だけじゃなくて棘くんのことが好きだ」
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作者名:しらたば | 作成日時:2021年1月26日 22時