歪んだ感情の行き先【派生作品】 (ページ9)

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Chapter8　『おって』ページ9

『え…ずーっとここにおるの？』
少年「？おん。勿論やろ。」
『暇やん。』
少年「他の子が遊び相手になってくれるで！」

そういう彼を見つめて俺はひどく驚いた。
言葉も出ないくらい。

『ほんまに…神様信じとるん？』
少年「そうに決まっとるやん！だって父さんと母さんが言うからな。」
『…そか。』
少年「あんさんは信じとらんの？」
『まぁ…せやな……』

俺がおずおずとそう答えると心底不思議そうな顔をして聞いてくる。

少年「え？なんで？」
『だって＿信者「ここの蔵の方か？」やべっ…』
信者2「もしかしたら弐葉様のところに隠れたのかも知れない！」
信者「よし！早く行くぞ！！！」

バタバタと足音が聞こえる。
ここの前まで来ていることが分かった。
まずい、まずい。焦ってうまく考えがまとまらない。

そのせいで立ち尽くしていた時その少年が俺に話しかける

少年「あの入れ物んとこなら隠れられると思うで！早く！」
『ｯ…！おう！ありがと！』

何故協力してくれたのかはわからない。
神を信じない人というのが未知だったからなのかも知れない。
今はそれを考えている暇はない。

そう頭を振り切り無事隠れられたことに安堵した。

『ﾊｰ…ﾊｰ…』

小さな箱の中では俺の息遣いと心臓の音だけが聞こえる。

信者「すみません。弐葉様。現在、教祖様が何者かに襲われました。」
弐葉『…？どういう…』
信者2「そのままの意味です。神への祈りの最中に子供に襲われてもう息がありません。」
弐葉『！？私、父様のところに行きます！！』
信者「いえ！駄目でず！！貴方様は神の子。外にいれば居るだけ体が悪くなります！」
弐葉『でも…』
信者2「絶対に駄目です。」
弐葉『…はい。』

彼の名前は弐葉というらしい。
話の内容からして俺のことを追っているのは明確。
でも、弐葉可哀想やな。
ここから出してもらえないで、親が死んだのに行かせてもらえなくて。

信者「それからですが、そいつが逃亡しました。」
弐葉『それは大丈夫なのですか？』
信者「いえ、危険です。なのでそこに隠れていないか聞きたいのですが…」
弐葉『私の方は来ていませんよ？』

『！？』

その回答に俺が驚く。
親を殺したやつを何で庇うのかが俺にはわからなかった。

信者2「もしかしたら弐葉様が脅されてる可能性がありまして…。中に入ってもよろしいですか？」
弐葉『はい。大丈夫ですよ。』
信者2「ありがとうございます」

ｷﾞｨｨｨ…
最初と同じ、あの重いドアの音がする。足音がすぐ近くに。
この中にいた時間はどれくらい長かったか俺は覚えていない。

【心臓の音だけが木霊してた】