Chapter７ 『おりのなかのこ』 ページ8
『あっ…ぶねぇ…！！』
信者「ガキがｧ…！」
俺はあのあとから10分ほど逃げ回っていた。
あいつがすぐ俺の近くに来たのは多分個性。
瞬間移動系で1回使うと10分間のラグが開く事がわかった。
そのまま逃げていると俺はだいぶ遠い場所まで逃げたらしい。
目線の先には壁と蔵があった。
他にも蔵はあった。
でも、俺は一番奥の古そうな蔵を選んだ。
何で？と聞かれたらなんとなくとしか言いようがない。
ｷﾞｨｨｨ…
大きな重い音を立て扉が開く。
その先には真っ黒の髪をした少年が檻を隔てて座っていた。
その少年は何をすることもなくただただ座っていた。
真っ白の装束衣装を着ているということは間違いなく宗教関係者。
さっき殺したやつもこいつと同じ様な黒髪だった。
まさか親？
でも、息子だとしたら何でこんなところに？
そうぐるぐると考えていると少年が喋りかけてくる。
少年「なぁ…あんさん誰や…？」
少年がおずおずと聞いてくる。
その瞳には怯えが映っていた。
『あ…俺はｧ…』
なんて言えばいいだろうか、と頭をフル回転させていたが全く思いつかない。
そのまま黙っていると
少年「あ！新しい信者の子供？うれしいなぁ！同い年くらいやろ？」
『お…おう！せやで！よろしゅう！』
少年が勝手に勘違いしてくれたらしい。
同意するとよろしゅう！と目をキラキラさせて話す。
俺はその話に乗っかることにした。
少年「あんさんがここに来てくれたってことは誰かに頼まれたん？」
『あのな、今、別の信者の人達と追いかけっこしとったんよ。その時ここに隠れようとしてん』
少年「そうなんか〜！じゃあ俺がここに来たら追い返しとくわ！」
『(見知らぬやつにもこんな話すんか…。こいつ)』
人と合うのになれているのか？
はたまたただただ彼のコミュニケーション力が凄いだけなのか？
それはよくわからない。
でも、このままだと何も変わらなそうだ。
取り敢えず、一番気になっていることを聞くことにした。
『そういえばあんさん、何でここにおるん？』
少年「え、聞いてないん？」
『あぁ、すまん。まだ聞いとらんかったんや』
少年「ええの、ええの！なんか皆が俺を神の子っていうんや。せやから外には出しちゃ駄目って｣
『…それ信じとるんか？』
少年「おん！神が俺を選んでくれたなんて喜ばしい限りやろ？その期待を裏切らないように俺は頑張らなあかんねん！」
そういいﾆｺｯと笑った少年にこの宗教に薄ら寒い何かを覚えた
【檻の中の少年は純粋無垢で何も知らない】
Chapter8 『おって』→←Chapter6 『はじめてのしごと』
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