136話 特別な笑顔�� ページ46
*零side*
……俺は昔から、Aの笑顔が好きだった。
“おーい！A、早く来いよ！”
“A！早く来ねぇと置いてっちまうぞ？”
“もう…。研二も景光も早過ぎ！”
パッと花が開いた様に笑うAに、いつも癒されていた。
“大丈夫か？A。無理はするなよ”
“ゆっくり来い。あいつらがはしゃぎ過ぎなだけだからな”
“零も航も優しいね。ありがとう”
だが、俺が本当に好きな笑顔は、決して俺には向けられる事のないもの。
“ほら、A。手ぇ貸せ。一緒にのんびり行こうぜ”
“ありがとう、陣平…っ！”
松田にだけ向ける、Aの特別な笑顔が、俺は何よりも、好きだったんだ───…
「……ねぇ、安室さん」
「何だい？」
Aのお父さんの命日から数日。
その日俺は、ポアロからの本庁だった。
「何だか今日、元気ないね？」
「え…。そうかな？」
１人でお茶をしに来たコナンくんが、カウンター越しにじっと俺を見つめる。
「うん。本当に何となくだけど、いつもより寂しそうに見えたから」
「寂しそう、か……」
───僕は……俺は。
勿論、コナンくんの言葉には心当たりがある。
“病める時も、健やかな時も、Aを守り…”
コーヒーサイフォンのロート内を竹ベラでかき混ぜながら、ふと、あの時の事を思い返す。
“Aより１日でも長く生きて、Aを独りにしない事を誓う”
Aの涙を拭いながら、俺はAにそう言った。
“……ですから千代田警視監に、奥様。Aさんを、安心して、僕に任せて下さい…”
我ながら、なかなか恥ずかしい事を言ったよな。
確かに、あれじゃまるで……
“……まるで、結婚式の誓いみたい”
そう言ってAは、あまりにも切なげに微笑んだ。
“ふふっ。……お父さん、お母さん。私なら大丈夫…。零が私の……傍に、居てくれるから……”
俺はあの時、酷く困惑したんだ。
“……ありがとう、零…”
“……っ”
何故Aが、あんなにも苦しそうな顔をしたのかがわからなくて。
だってあれは、Aが松田を想いながら煙草を吸う時と、同じ表情だったから───…
「……もしかして、Aさんの事？」
「…！」
「図星、だよね？」
コナンくんの言葉に、俺は思わず口角を上げる。
……いや。
自嘲する、と言った方が良いか───…
*
137話 特別な笑顔�□�←135話 病める時も、健やかな時も
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「降谷零」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかの(プロフ) - RURUさん» RURU様こんばんは！ニヤけて下さって嬉しいです(*´ｰ`*)降谷さんとうとう告白すっ飛ばしてプロポーズまがいなこと言ってしまいましたね…(笑)夢主さんの反応や今後の展開など、いい意味で裏切られる様に頑張ります！励みになるコメントいつもありがとうございます！！ (2018年9月4日 0時) (
レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - おっおっ？！ついに言いました！？かっこいいーーー目がハートで顔のニヤケが止まりません！この後どんな風に発展していくかとっても楽しみです！続きを楽しみに待ってます。頑張って下さい！ (2018年9月3日 22時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
ゆかの(プロフ) - はむたさん» はむた様ぁぁぁ！！！早速来てくださって本当に嬉しいです！！ありがとうございます！！パート�気�らまた読み直して下さってるなんて感激すぎて…！！才能なんて勿体なきお言葉まで…恐縮です…ヽ(；▽；)ノ少しでも楽しんでいただける様にこれからも頑張ります！！ (2018年9月3日 20時) (レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
はむた - （お言葉に甘えて）また来ましたぁぁ(ﾟ∀ﾟ)ひとまず�気�ら読み直しています（笑）原作のシナリオと設定に忠実で、ここまで違和感なく構成出来るのは才能ですね♪ (2018年9月3日 8時) (レス) id: 2a45c3a958 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかの(プロフ) - はむたさん» はむた様、初コメありがとうございます！！一気読みして下さったなんて感激です…！ありがとうございます…！！最後は降谷さんと幸せになれるように、これからも頑張って更新していきたいと思います(｀・ω・´)もし良ければまた遊びにいらして下さいませ(*´ｰ`*) (2018年9月3日 0時) (レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆかの | 作成日時：2018年7月23日 1時
