【I dentity V】～貴方に言いたい～【占い師】 (ページ4)

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「これでよし…と」

私にしては随分と豪勢な寝床だ。
傷に支障が出ないよう、フカフカの綿に包まれているそこに、顔を埋めてみる。

モフモフとして気持ちいい。
手当ては痛かったが、この少年の心遣いはとても優しくて痛くない。

「ご飯食べるかな…？キミは何を食べるんだろう」

何かを呟いては唸っている様子だった。
大方、私を今後どうするのか決める予定なのだろう。

「パン…食べる、かな？」

瞬間、少年は懐からパンを取り出してちぎり、私の口元へと持ってきた。

どうやら食べろ、と言うことらしい。

確かにお腹は空いているが、どこからどう見てもキミの方が食べなければぽっくり逝ってしまいそうな身体だ。

たかがこんな私にあげるより、幾分かキミが食べた方がマシだろう。

"要らない"という意味をもって、顔をふいっ…と背ければ少ししゅん、としたような顔でアタフタとした。

「ご、ごめん。これは嫌だったかな？えぇと…スープ…いや、この場合もっと適切なものがあるのだろうか……」

……この子は自分が食べるという選択肢はないようだ。

何としてでも私に口にして欲しいらしい。

このままだと、この子が本当に何も食べずに1日が過ぎてしまいそうだ。

そう考えると自ずと溜息が出て、先ほど置かれたパンの一口を口に含んだ。

「！た、食べた…！」

あぁ、
そんな嬉しそうに無邪気な顔にならなくても。

私だって食べますとも。
だって3日間飲まず食わずな訳だし。

天のお恵みかと思うくらい。

さぁ、食べたんだから貴方も食べなさいな。
心優しき少年くん。