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こつこつと音を鳴らして廊下を進む。

まだ昼の賑やかさが残っている気がして、教室に視線を向けながら歩いていると

探していた背中を教室の中で見つけた。

此処は高等部一年の教室。



「やぁ、七番。」



その後ろ姿に声を投げると、驚いた様に振り返る七番。

一瞬目を見開いた彼に、ひらひらと手を振ると顔をしかめられた。



「何しに来たの、____零番。」


「酷いなぁ。久しぶりの再会だっていうのに、そんな怖い顔しなくてもねぇ。」



更に彼は顔を歪ませ、私を見る。


因みに、七番とは殆ど面識が無い。
対面したのは、七不思議に私の存在意味を説明した時だけだ。

そんな奴に"再会"だなんて言われちゃあ、それこそ恐怖でしかないだろう。


うん、分かるよ。でも少し悲しいかな。



「俺に何か用?」


「あぁ。ちょっと伝えなきゃいけない事があるんだよ。」



そう言いながら、一歩彼に近付く。

月明かりに照らされているその顔は、綺麗だ。



「虚構の世界といい、少しやり過ぎじゃない?」


「……。」


「私は他の怪異みたいに干渉するなとは言わないけどね、執着は駄目だよ。」



私の言葉で顔を背けて黙る七番は
分かってるよ、とでも言っているかの様な表情だった。

いいや、君は分かっていない。



「ネネちゃん、だっけ?あの子、もう寿命が少ないんだってね。」


「……だからなに?」


「救いたいのは分かる。でもね、守りたいと思う事は、その人を弱点にするって事なんだよ。」



つまり、貴方の弱点はネネちゃんだ。

その意味を、貴方は分かっていない。


それを聞いて、何処かに去ろうとする七番の腕を掴む。



「……同じ過ちを繰り返さないでね。」



貴方ならきっと、まだやり直せるから。

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作者名:透空 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月3日 0時

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