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七番は白杖代でネネちゃん達を見付けるなり、アナウンス風の口調で喋り出した。

マジか、とでも言う様にこの電話を見つめていたけれど。



「案外乗り気なんじゃんね。」



ぽつりと小さく呟くと、受話器を耳に当てた彼は煩そうに此方を見てきた。
瞳が大きいからか眼力がすごい。

気を取り直して、こほんとひとつ咳払い。



「今度はそんな所で何やってるの?ヤシロ。」


「ネネちゃーん、無事?」


「花子くんっ、Aちゃんっ…!」



指先でコードをくるくると弄ぶ彼に続き、私も電話に口を近付ける。
すると、嬉しそうなネネちゃんの声が飛んできた。

一先ず何も無くて安心だ。

小さくほっとしていると、何か悪い笑顔を浮かべている七番に気付く。



「あれ?一番もいるんだね。…もしかしてウワキ?」


「このスピーカー壊すね。」


「こら。煽らないの、七番。」


「アハハ。」


笑ってる場合じゃはいでしょう。
なんて言う隙も無く。

彼は、にっこり笑顔のままで。



「状況は把握してるよ。なんて言ったっけ__アオイチャン?


連れて行かれちゃったんでしょ。六番に。」


「……は?」



初めて聞く名前に、思わずその一文字が喉から飛び出る。

まさか、もう他の生徒に被害が及んでいたのか。

何故か私よりも状況把握が早い事は置いといて。
なんだか聞いた事あるな、と思考を巡らせる。

確か、この一番が背後霊の様に付きまとっている子だった気がするな。

連れていかれた?六番に?
何故。理由があるのか。

そもそも。
六番は何を司っているのだろう。

七不思議を纏める役として、知らないのは致命的だが
関わりが全くと言っていい程無いのだがら仕方がない。

ひとり考え込んでいる内にも、話はとんとんと進んでいて。



「あー。けどそーだな。」



そんな七番の、何か含みのある声色で
意識を中から外へ引き戻す。



「一番はアオイチャンの所に行きたいんだよねぇ。

俺ならその装置で六番の所まで連れてってあげられるかもだけど…。」



めんどーだしなーとふわふわした声を出す七番に、ネネちゃんの非難が飛んでくる。

なんとなく。
なんとなくだけど。
何がしたいのか分かった気がする。



「わかったわかった。じゃ、こーゆーのどう?」



ぱちん。
指がなって提案が繰り出される。

それは、願いを聞く代わりに
一番が何でも言う事を聞くというものだった。

ちらりと表情を伺うも、その細められた瞳とは一切目が合わない。

ただひとつ、分かるとするならば。



「どうする一番。俺にお願いする?」



それは怪異のカオだった。

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作者名:透空 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月3日 0時

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