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自分の罪を語り終わり、口を閉じる。
伏せていた目を上げると
ネネちゃんは青い色を瞳に宿していた。
「なんで…貴方がそんなに悲しそうな顔をしているの?」
「…だって、Aちゃんは何も悪くない。」
「……。」
彼女の真っ直ぐで曇りの無い瞳を向けられて
私の中にある黒い塊が、溶け出しそうになり目を逸らす。
そんな目で見ないでよ。
自分を許してしまいそうになるから。
私は悪く無いのだと思ってしまうから。
それでも固い何かが、少しだけ和んだのは変わらなかった。
「…私は、誰かにそう言って欲しかったのかもね。」
「だったら…!」
「でもね、決して忘れちゃいけない。許されてはいけないの。」
今度は逸らさずに彼女を見据える。
ゆらゆらと揺れるその瞳からは、涙が今にも溢れ落ちそうだった。
そうやって、私の為になってくれるだけで充分だ。
「だから、ネネちゃんも簡単に人を許してはいけないよ。その優しさに浸け込む奴だっているの。」
「でも…。」
「貴方に何かあったら、心配する人達が居るんだよ。彼処にいる彼みたいにね。」
屋上の扉を視線で指す。
大分前から居るけれど、一向に現れ無いのだ。
ネネちゃんがそっちを見た隙に、近付いてふわりと頭を撫でる。
「ごめんね。少し眠って貰うよ。」
「な、んで……?」
「ちゃんと、分かって貰わないと困るからね。」
がくっと意識を手放して崩れ落ちる彼女を支えて、優しく地面に下ろす。
まだ姿を見せない彼に少し腹が立ち、棘を含む声を出した。
「…そろそろ此方に来たらどう?七番。」
それを合図に扉が開く。
漸く現れた彼は、ただただ無表情だった。
「……ヤシロは?」
「少ししたら目覚めるよ。」
「…そう。」
地面に目を向けながら此方へ来る七番。
ネネちゃんの無事を確認するのかと思いきや、私の腕を掴まれて内心焦る。
「え、な、何?」
「…別に。」
それから沈黙が流れて、さわさわと木々が擦れる音が響く。
何なんだ、いったい。
今だに掴まれている腕を見つめるが、答えが出ない。
ちらりと七番の顔を見ても目が合わないし
訳が分からないので手を振り払おうとすると
腕をぐいっと引っ張られて、抱き締められた。
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