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「早かったね。アンタなら直ぐに来ると思ってたよ。」
無意識に身体が震える。
目元が熱くなって、顔が歪んでいくのが分かった。
それでも私は負けない様に、必死に声を振り絞る。
「な、何してる、の?」
「何って、アンタ達が私にした事よ。」
不敵に笑う結奈は、生前の面影など無かった。
憎しみだけが渦巻いている。
でも、そうさせたのは私だ。
拳に力を入れて、今にも崩れそうな心身を保つ。
じわり、と何かが滲んだ。
「そんな事しても……。」
「意味無いって言いたいの?分かってるわよ、そんな事。でもね別に良いのよ、意味なんか無くったって。」
そう言いながらネネちゃんへの力を強めた。
今にも落ちそうなネネちゃんは悲鳴を上げる。
彼女は本気だ。
このまま話を続けていても埒が明かないだろう。
そう思い
二人に近付いて、ネネちゃんの手首を引く。
思ったよりすんなり自分の元へ来た彼女を、背後に隠した。
それを見ていた結奈は目を吊り上げる。
「……その子の事は守るわけ?私の事は裏切ったのに。 」
「……。」
「何とか言いなさいよ!!」
「ごめん……、ごめんなさい……。」
言える事なんて、何一つ無かった。
ただ謝る事だけ。
ぼろぼろと溢れ出る私の涙に、彼女は目を見開いて口を閉ざした。
体温の無いその腕を、恐る恐る掴む。
赤い血液が白い肌を彩る。
「助けられなくて、死にまで追い込んで……ごめんなさい。」
謝っても謝っても、許される事じゃ無いのは分かってる。
けれど、伝えられる言葉はこれしか無かった。
「な、によ。今更。」
「本当にね。一生かけても償うべきだと思ってるよ。だから私は此処に居るんだ。」
伏せていた瞳を開けて、真っ直ぐに結奈を見据える。
少しだけ怯んだ顔をした彼女。
「貴方を…結奈を守れなかったから、もう誰も傷付けない様に私はこの役目を全うするの。」
止まらない涙には構わずに、何かを言いかけた彼女を押し倒し馬乗りになる
また、私は貴方を傷付けるのだ。
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