【名探偵コナン】ポアロマスターの代理です。4

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律side.


沖矢さんが来てくれた…がしかし
息が…っ、息がもう持たない！
彼が体を引き上げてくれようとした際に感じた
頭を引っ張られる感覚は、
見えなくとも髪の毛が何かに
引っかかっていると分かった。

引きちぎってでもどうにかしたいが
海面に叩き付けられた衝撃で
体が上手く言う事を聞いてくれない。
ごめんね沖矢さん、
折角助けようとしてくれてるのに…

薄れゆく意識の中、
唇に感じた温かいものは
私の肺を少しだけ満たしていく。
視界が多少ハッキリした時には
至近距離の赤井さん、基沖矢さんの顔。

私の頬を撫で、一旦離れた彼は
直ぐに金属片を片手に戻って来た。
私の体を抱きながら背後に手を回し
少しずつ絡んだ髪の毛を切っていく。

まだ時間が掛かりそうなその行為は
二度目の息の限界を呼んだ。
人伝で貰った酸素はそこまで長くは続かない。
それを察したのか彼はまた離れ
一度空気を吸い直し戻ってくる。
唇に再び感じる感触…
彼の目は私を見つめると
"もう少しだけ耐えろ"と訴えている様だった。

再開された作業で漸く開放された私の体は
逞しい腕によって海面へと引き上げられた。
苦しいのを意図的に制御されてた脳は
これでもかというくらいの酸素を求めて
私の器官を動かす。

少し離れた狭い浜辺まで移動した沖矢さんは
私を抱き抱えて浜に上がった。
そして地面に下ろし座らせる。
彼も正面にしゃがみ目線を合わせてくるが
その目は初めて目の前にした
恐怖感を感じる鋭い物だった。


沖｢お前はあのまま死ぬつもりだったのかっ！？｣

『……っ』


私に弁解する余地は無かった。
また同じ事をしたんだ…
遊園地で零に怒られた時と全く一緒。
結婚式の時だってそう。
折角赤井さんに相談して
やり方を変えようと思ったのに
見事なまでにこの様…

呆れる程学習しない自分がとても嫌になる。
ただあの時…犯人を落とさない為には
ああするしか無かった…
失神した人が落ちれば死ぬ確率は高い。
例え罪を犯した人でもそれを
見過ごす事は出来なかった。
ごめんなさい…、私には他に
方法は見つからなかったんです。

きっと直ぐに駆け付けてくれる
赤井さんを信じてた…なんて
甘ったれた事言えない…


沖｢坊やと合流し俺に連絡をしたのは
まだ良かったが少しでもタイミングが
悪かったらお前は…っ！｣


私と沖矢さんの間に流れるピリピリとした空気は
余計に私の口を閉ざしてしまう。

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