【名探偵コナン】ポアロマスターの代理です。2

・ ページ42

その後小さい頃のエピソードなど
皆に聞いてもらった。
こんなに家族の事を誰かに話したのは
初めてかもしれない。

その最中も伊達君は静かに聞いててくれるし
萩原君は少ししんみりすると
笑いに変えてくれる。
緑川君は空いたお皿を片付けながら
時々優しく頭を撫でてくれたり
隣にピッタリくっついている松田君は
…まぁ特に何も無いけど。

家に誰かが居るってやっぱりいいなぁ…


緑｢ていうか律さん
だいぶ呑んでるけど大丈夫なの？｣

『うむ、我はシラフじゃよ？』

萩｢恐ろしいザルだな…｣

松｢じゃあ勝負するか？｣

『望むところよ泣かしてやんよ、うへへ…』

伊｢キャラが変だぞ。｣


突発的に始まった呑み勝負。
ただひたすらに空になっていく酒。
巻き込まれた皆は先に撃沈した。
顔はアバターのように真っ青だ…
ごめん言い過ぎた。
ていうか酔うって概念あるんだね…


松｢バケモンかよ…｣

『そういう松田君だって
ちゃっかり残ってんじゃんか。』


そう、最後まで残ったのは
勝負を始めたこの二人のみだった。
あとの三人はテーブルに
突っ伏してる模様。


松｢どうだ、俺も格好良いだろ？｣

『まだ言ってるよ…
そういうのじゃないんだってば。
それに兄貴は全くお酒は呑めなかったし。
というか別に君達に家族は重ねて見てないよ。
例え境遇や外見が少し似ててもね。』

松｢…そうか。｣

盛り上がってたリビングが
一気に静かになった気がする。
さっきとはまた違う落ち着いた雰囲気。


松｢じゃあ何だ？
俺はちゃんと異性に見られてる訳？｣

『急にぶっ込むねぇ…
まぁ生物学上は異性だよね。』

松｢そうじゃなくてだな…｣

『分かってるって、でも
誰に対しても"恋愛感情"はないんだよね。
兄貴っていう最後の家族を失ってから
ピタッと無くなっちゃった。』


そう、それまでは私も普通に恋してた。
彼氏だっていたし楽しかったし。


『そっからかなぁ…
恋愛感情すっ飛ばして
親しい人皆"大切な存在"って感じ？』

『私一生結婚出来ないかもね。』


ははっと笑いが出た。
こうやって皆と接してるだけで
私は充分だと満足してしまうのだ。


松｢そうなんだろうがちょっと違うな。｣

『…え？』

松｢"家族"を作るのが怖いんだろ？
お前はまた失う事を恐れてんだよ。
その形を怯えて作れないでいるだけだろ。｣

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す