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私達は建物の陰に隠れた。
どうやら追手はいないみたいだ。
「あの、ありがとうございました!
男なのに、女性のあなたに助けられてちゃって……」
「いえ、私は平気です。……でも」
彼は平気だろうか。
今はその事が気になって仕方ない。
彼は自分の身を削る覚悟で私達を助けてくれたのに、私達は、私はここでずっと隠れているのか?
いや、今度は私が身を削る覚悟で彼を助けに行く番だろう。
「私、あの人の所に戻ります」
「えっ!?でも、あなたまでやられるんじゃ」
「そうかもしれません。でも私には彼を見殺しになんて出来ませんから。それじゃあ」
「あっちょっと!!」
私は建物の陰から飛び出し、また走り始めた。
そして走っていて見つけた人溜まり。
近寄るとその奥には“落ちますの人”と彼の仲間の人達がいた。
ーーそして彼らが囲んでいたのは、頭と口から血を流して倒れている彼。
助けられなかった。
末崎さんと氷川さんは椅子に座って、まるで高みの見物をしているようにも見える。私の中で沸々と痛みが込み上げた。
「逃げて下さい。早く!」
“落ちますの人”がそう言うと、仲間の二人が怪我している彼を担いで建物を出ようとする。
その際に青いシャツの彼と目があい、彼は掠れた声でなんでと呟いた。
あなたを助けたかった、と伝えたかったが彼は建物から連れ出されてしまった。
連れ出された事に気づき、彼らを追いかけようとした末崎さん達の取り巻き。私は咄嗟に彼らの前に立ち塞がった。
同じく立ち塞がっていた“落ちますの人”は目を見開かせて私を見た。
「あなたはさっきの……!早く逃げて下さい!
ここはあなたには危険すぎる!!」
「私は危険を伴うとわかっていてここに来ました。
……助けられたのに、見殺しになんて出来ませんよ」
私がそう言うと彼は口籠もる。
末崎さんは鋭い眼光をこちらに向けた。
「そいつらにも教えてやれ!」
あっという間に押さえつけられる体。
襲う痛みに思わず顔を顰める。
「ッ彼女は無関係です!離して下さい!」
“落ちますの人”はそう叫ぶが当然離される訳もなく、末崎さんは狂ったように叫んだ。
「あの女も言ってたろ!
ーーここじゃ手段を選ばず勝った者が正義だって!!」
“落ちますの人”に向かって拳が飛ぶ。
「ッ、止めて!!」
ーーまた、守れない。
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マカロン(プロフ) - ナッツピさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。確認したところオリジナルフラグは付いていませんでした。もし今後も続くようでしたらお手数ですが教えて頂けると助かります。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: c48da97d00 (このIDを非表示/違反報告)
ナッツピ - オリジナルになってます編集画面の下の方に書いてあるので外してください (2019年4月4日 21時) (レス) id: a274a13ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロン | 作成日時:2018年9月29日 7時