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よく見ると彼らの胸元にリングらしき物は無かった。
どこかに隠し持っているのか。
それともゲームに挑んでいないのか。
あるいはクリアに失敗したのか。
それを知ったところで目の前の彼らが私のリングを狙っているという事実に変わりは無い。
「……さっきから黙ってるけど、怖くなったのかな?まっ、その方が都合良いや」
一人の男性の手が私のリングに向かって伸びてくる。
私はーー咄嗟にその手を叩き落としてしまった。
バチンという痛々しい音がその場に響き、目の前でかなり痛そうに手を押さえながら座り込む男性。
なんだなんだと周りに人も集まってきた。
ここにいたら後々面倒な事になる。
直感した私は座り込んでいる男性を避けて走り出した。
「ッおい!あの女逃げやがった!」
「追いかけンぞ!!」
これはーーしばらく休めそうにないな。
道行く人の視線に気づかないフリをして、私はさらに足を速めた。
ー$ー
もう何分走ったかわからなくなった頃、私は初めて足を止めた。
後ろから追いかけて来ていたあの三人はいない。どうやら撒けたらしかった。
ただ、無我夢中で走ったせいで自分でもここがどこかわからない。
とりあえず近くの建設中のアトラクションの中に入り、息切れを整える。
「アレ、先客だ」
突然後ろから聞こえた声。
驚いた私は思わず振り向く。
ちょうど二人の男の人が入ってくる所だった。
どちらも見覚えがある。
「あの女、昨日のか」
「そうみたいだね。
初めまして、僕は氷川ユウキ」
「……末崎セイギだ」
「小町A、です」
「君の事、気になってたんだ。
……そのリングは自分で獲ったの?」
この人、もしかして疑っている?
「正真正銘、私が獲りました」
「……ふーん。凄いね、Aちゃん」
ニコリと笑う氷川さんとは対称的に、末崎さんは私を軽く睨みつけて言い放った。
「……おい女、今すぐどっか行け」
「え、ちょっといきなり何言ってるの」
彼がそう言った事に、氷川さんは少し驚いているようだった。
「良いから早く行け。でないと……」
末崎さんが何かを言いかけた時、足音が聞こえてきた。
現れたのは集団の男の人。
「あっ!アイツさっきの!」
「ッ」
「さっきの?」
「捕まえようとして逃げられたんスよ……」
それを聞いた末崎さんがなぜかバツの悪そうな顔をした。
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マカロン(プロフ) - ナッツピさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません。確認したところオリジナルフラグは付いていませんでした。もし今後も続くようでしたらお手数ですが教えて頂けると助かります。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: c48da97d00 (このIDを非表示/違反報告)
ナッツピ - オリジナルになってます編集画面の下の方に書いてあるので外してください (2019年4月4日 21時) (レス) id: a274a13ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロン | 作成日時:2018年9月29日 7時