好きというには重すぎる【降谷零】

Time.096 ページ46

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「…おはよ 鍵開けっぱだったよ」

「嘘言わないでください」



朝の5時半 また変な時間にリリーは家にやってきた

この時間やめろって言ったのに…出勤前で良かったなほんと



「朝食なら作りませんよ」

「…スーツ」

「何しに来たんですか早くしてください」

「手当して欲しくてきたのよ 腕と…首から肩」



ストールを外し僕にそう傷を見せる

指の形の痣？また喧嘩でもしてきたのか

それに赤い手形と …血の滲んだ歯型

…いや まさかそんな



「独占欲の強い人で困ったわ… どうせすぐ死ぬのにね
っ痛い消毒すごい染みる優しくしてちょうだい」

「…氷嚢作りますから待っててください」



最初は冷やして 治りかけは温める

確かそうすると早く内出血が治るはずだ

首元の詰まった服…半袖も危ない 腕の怪我が見られるかもしれない

痣自体は明日には消えてると思うが…ああもう 憎たらしい



「…顔怖いわよ 心配しなくても何もないって
ただ話してたら急に噛まれて反抗したら首締められただけで」

「何もあるじゃないですか！僕が今どういう気持ちでいるかわかりますか！？」

「心配でたまらない？それとも羨ましい？
あとは…僕ならもっと優しくするのに、とか？」

「わかってるならもっと…」



話してるだけで噛まれるなんて相手は犬じゃないんだし

そんな他人の跡付けてきて手当して？それだけ？

…好きとか嫌いとか 付き合う付き合わないとか

そんなのは要らないからただほんの少しだけでいいんだ



「…もっと僕を、大事にしてくださいよ」

「え？」

「僕が貴方のこと放り出して消えても知りませんからね
二度と手当も仕事もしませんし髪だって纏めてあげないし
出かける時車だしてあげないし変なことに巻き込まれても助けませんから！それから─」

「そんな事しないでしょ」

「…わからないじゃないですか！」

「だって貴方こんなに私の事好きなのに逃げ出すわけないじゃない」



なんでそんな 当たり前でしょみたいな顔して言うかな…

そこまで分かってて こんなの、一般的には君クズって言われるタイプだぞ

…でもそんな君を好きな僕はもっと駄目な人かもしれない



「他に言いたいこと、ある？」

「…次似たようなことしたら 本当に居ない扱いしますからね」

「寂しいこと言うなあ」

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