波乱万丈 (ページ9)

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『おじゃましま〜す…！すごい！！本物だ！』

ついに来てしまった…。
YouTube越しでしか見たことがなかったあの部屋に、私は今いるのだ。

京極「本物だ、てなんですか笑そこ、座ってください」

『ありがとうございます』

ついつい、キョロキョロしてしまう。
京極さんは本当にセンスがいい。見習いたいものだ。

京極「今日見る映画はー、こちら。」

あらすじは、
他者の夢に入り込める装置をめぐるサイコセラピストの奮闘を描くSFサスペンス
というもの。

『すごい、面白そうですね。私こういうの大好きです！さすが京極さん。私のことよくわかってるんですね。』

京極「もちろんですよ。でも実はそれだけじゃなく、主人公がAさんに似てるんです。容姿じゃなく、雰囲気が。」

なんだそりゃ。ますます気になる。

『早速観ますか。私もう気になって仕方ないです。』

京極「それじゃ、いれますね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『…終わった……。すごい、いい映画だったね。』

京極「僕も実は最初の方しか見たことなかったんですけど、めちゃくちゃ良かったですね。」

『あ、主人公ってあの子だよね？私に似てた？』

京極「似てましたよ。なんというか、二面性が。」

『二面性〜！？京極さんには私のこと、どう見えてるのかな？』

京極「…もう敬語、外れましたね」

『あっ…。』

気づかなかった…。
京極さんが聞き上手なもんだから…！
でも、良かった。

京極「どうせなら僕のこと下の名前で呼んでくださいよ。京極はあくまでも芸名ですから。」

『確かに…。じゃあ、風斗…さん？』

京極「もう一声！」

『風斗くん？』

京極「まあ、今回はこれでいいでしょう！」

そんな会話をしていたら、もう帰る時間になってしまった。
映画を観ていたからとはいえ、あまりにも短い時間で。
玄関でバイバイと言ったあと、わがままを言ってしまった。

『やっぱり家まで送ってって。アイス、奢るから。』