No.18 ページ19
Aちゃんの強い抱擁で、あの世へ再送りされそうになる。
ぶっちゃけると死ぬほど嬉しい。
彼女の手で死ねるのなら本望だ。
でも苦しい。このまま続いたら、いつか意識が途切れそうな気がしてくる。
折角再会できたのにそれはまだ、嫌だ。
Aちゃんは腕の中で震えていた。
泣いている音が聞こえた。
そこまでAちゃんを心配させてしまったのだろうか。
なんとか俺は落ち着きを取り戻して、彼女の心音に耳を傾ける。
_鬼の音が最後に会った時より明らかに強くなっていた。
だけど、彼女の音は変わらず泣きたくなるくらいに優しかった。
Aちゃんは抱擁の力を緩めたがそれでも離さず、途切れ途切れで事の経緯を話した。
『…最終選別が終わるの、7日後だって言ってたから、祝ってあげたく…って、いつもより早く来てたの…』
しかし今は最終選別に入ってから8日目の夜だ。
つまりAちゃんは昨日帰ってくると思っていた俺をずっと待っていたのだ。
それに俺はすんごく弱いから、死んだかもしれないと心配させたのかもしれない。
『でも全然来なくて…何かあったんじゃないかって……
__良かった…善逸くんがちゃんと生きてて、本当に良かったああ……』
そうして彼女の大きな瞳から滴がぽたぽた零れ落ちる。
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作成日時:2020年1月23日 15時