10年越しの君は。２ (青)

お化け屋敷コント ページ16

「…2人って仲良かったん？」

少し落ち着いた向井さんが言う。

「まあ、結構話したよね？」

渡辺くんが私の顔を覗き混んで聞いてきた。
目の前に渡辺くんの顔がある！
ちょっと恥ずかしい。

「あ、うん…」
「え！！違う？！俺が勝手に思ってただけ？！」
「ううん！話した！たくさん話したよ！」
「あー、良かったー」
「ふふふ、ごめんごめん」

渡辺くんが胸に手を当ててホッとした表情をした。
大袈裟にやってたから笑っちゃう。

「…ホンマに仲ええんやな」

ボソッと向井くんが言って微笑んだ。


コントは最近付き合い始めてお化け屋敷に行ったバカップル、という役。
向井さんがお化け役で、私が彼女役で、渡辺くんが彼氏役。

渡辺くんと恋人役…。
コントとはいえ、急に緊張してきた。
彼氏？渡辺くんが？
やばい。どうしよう。

リハも終えて、本番よーい！と声がかかる。
お化け屋敷に入ったところからスタート。

「うわあ、怖いよお」
「大丈夫だよ、Aちゃんは俺が守るから」
「翔太くん…」

下の名前で呼んだの初めてかも。
しかもAちゃんと呼ばれて少しドキッとする。
それよりもこの可愛い子キャラちょっとキツい。

それから私がキャ！やだ！とか可愛い子ぶって行って、
渡辺くんがハ！ハ！とか言いながらぎこちなく私を守っていく。
その度に私は翔太くん素敵…と言ってバカップルを演じていく。

そして頭に刀が刺さり、白い浴衣を着ていて顔を白塗りしているお化けの向井くんがうわー！と脅かしにきた。

「いやああああ！！！」

叫んだのは、私。
…ではなく渡辺くん。
やっぱ無理！おれ無理！やっぱり怖すぎる！来んなよおー！
とか渡辺くんがビビりまくって私を盾にした。
向井くんがビビりすぎやろ！とか面白がって突っ込んいく。

それに対して私はとうとう
…ふっざけんなよ！！
と大声をだして
おい翔太、守るって言ったよな？盾にしてんじゃねえか！
ビビりすぎなんだよ！ダサいな！
お化けも驚かしてんじゃねえよ！
白塗りしすぎだろ！
とかオドオドしてる2人に対していろいろ言っていく。

そして帰る！と言ってお化け屋敷を出たら
その後を渡辺くんが、ま、待ってよお〜と着いてくる。

それを見た向井くんが
…あの彼女が1番怖いやん
と言ってコント終了。

カーット！お疲れー！とかかった。

終始スタッフの笑い声もあり、
私たちも時々笑いそうになりながら
なんとか終わった。

可愛い子キャラ→←高校の同級生

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す