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「…とりあえず、Aよ。」
「はい。」
「許嫁として、昆奈門の家に留まると、そういうことでいいか。」
「ええ、今のところは充分でございます。」
「今のところはって…」
「雑渡様、不束者ですが、よろしくお願いいたします。」
「ええーっ……殿〜……」
「…いいではないか、どうせ婚約の話も進んでおらんのだろう。器量も性格も良い娘だ、そなたも気にいるだろう。」
「恨みますよ殿。」
「私のことが気に入らなければ、捨てていただいて構いません。」
「精神力強いね。」
「ふふ、雑渡様に関してだけです。」
「…そう。」
もう言い返すのも飽きたのだろう、雑渡様はついに何も言わなくなってしまった。
「昆奈門。とりあえずお前の父に紹介してこい。」
「…殿、もう完全に面白がってますよね」
「興が乗るではないか」
「はあ…おいで。」
くいくい、と手で合図されて、部屋を出る。
「…殿のご意向で、私の父に許嫁として紹介することになったけど、いつかは出てってもらうからね。」
「それは、雑渡様が私を嫁として受け入れ難いからでしょうか。」
「てゆうか、今、私祝言とかあげる気ないし、許嫁も作るつもりなかったんだよ。」
「まあ。ですけど、一緒に過ごしてみると案外いいかもしれませんよ。」
「君、ほんと精神力強いね。」
「ふふ、だって、初恋ですもの。」
「…ふーん。」
これからよろしくお願い致しますねとにっこり笑顔を浮かべると、雑渡様は、はあ、と大きなため息をついた。
「…ちょっと失礼するよ」
「えっ?!」
ふわりと体が抱えられた感覚がして、咄嗟に目の前の体にしがみつく。
「雑渡様?!」
「今からタソガレドキの忍びの隠れ里に行くから」
なるほど。まだ新参者の私には、忍び里への道を教えられないのね。
そう理解した私は、ぎゅっと目を瞑る。
しばらくの間雑渡様にしがみついていると、いつの間にか到着していたらしい。
そっと私の体を支えていた腕が解かれ、足が地面についた感覚がした。
「まあ、ここは。」
そこにはさながら小さな町があった。
「こっちだよ。」
雑渡様について歩いてゆくと、大きな家屋が見えてきた。
「ここに私の父が住んでいるんだ。私はもう少しここから歩いたところに住んでるんだけど」
「そうなのですね。私、これからは雑渡様のお家にお邪魔してもよろしいですか?家事も一通りはできますし、一生懸命働きますから。」
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時