拙者をスキーにつれてって ページ45
今年も雪が積もった。
せっかくなら、ということで、みんなでスキー場に。
「何あの人、めちゃくちゃかっこいい…!」
「声掛けてみようかな…プロの人?」
滑ってるだけで色んな奴がじろじろとおれを見てくる。…こっち見んな。
『銀、なんか滑りづらい…』
「自分の運動神経を呪いなさい。…ったく、誰に許可とって俺の迦葉を見てんだ…」
『あれ、そういや神楽は…』
さっきまで近くで滑っていたオレンジ色が見当たらない。
「どっかで雪だるまでも作ってんだろ。さ、もっかい滑るぞ。」
突然、後ろから銀に何かがぶつかり雪が舞う。
ボード…?
『銀、大丈夫か?』
「大丈夫大丈夫。ボードだけ滑らしちまったんだろ。ほら、行くぞ。」
そう言って滑り出す。おれも続いて雪を蹴った。
…あれ、いま土方いたような…
『…銀、ボードそんないかしてたっけ。』
「銀さんはいつでもいかしてるよ。」
「止まれって言ってんのがわかんねェのかこの腐れ天パども!」
「あれ、なんでお前がこんなところにいやがんだ?」
『オイ待ていまおれを天パで纏めた?癖毛だから。…というかお前のボードもいかしてんな…流行り?』
「ンなこと言ってる場合じゃねェ下見ろ下!」
「あ!いつの間に!」
だから言ったのに。
ひとまず止めなければ、と手を伸ばすも、そもそもおれも初心者。しかもなんか人間ボード速い。
追いつくので精一杯で、3人…5人?揃ってコースから外れてしまった。
「銀さん!迦葉さん!大丈夫!?今助けに行くわ!」
「お妙…!」
「銀さん!迦葉さん!僕達が来たからにはもう大丈夫ですよ!」
『何当たり前みてェに人間ボード乗りこなしてんだこの姉弟…ッ!』
馬鹿だけが増えてしまった。
「銀ちゃん!迦葉!大丈夫アルか!?今助けに行くアル待ってて!」
「嘘をつけェッ!」
巨大な雪だるまと化した神楽が後ろから迫ってきた。…なんか総悟も小太郎も混ざってんな。
『ああもう、全員歯ァ食いしばれよ…!』
加速して、先頭に出る。そのまま旋回して、両手を大きく広げ全員を受け止めた。
前略。遭難しました。
焚き火を作って暖を取る。
新撰組は茂茂の護衛として雪山に来ていたらしい。肝心の茂茂は見当たらない。
『…寒ィ。』
「ほら迦葉、こっち来い。」
銀に覆われるように抱きしめられる。
任せるヨロシ、とおれの前に神楽が座り込んで、2人に挟まれる形で暖まった。
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時