丁か半か ページ39
おれを連れて行きたいと駄々をこねる神威に、地球に帰りたいと告げる。
しょうがない、とおれを強く抱きしめて去っていった。
阿伏兎には中指を立てておく。縮め。
地球に連れて帰ってもらう代わりにしばらく鬼兵隊の船に乗ることになった。
また子が騒ぐかと思ったが、おれを見る度に顔を赤くしてどこかへ去っていく。反抗期かな。
「また子さんが気にするのも無理はありません。貴方、なかなか良い顔立ち…女装に興味は?」
『万斉、誰この変態。』
「武市変平太でござる。それより迦葉、晋助が呼んでいる。」
『骨けずって縮む気になった?』
「開口一番何言ってんだてめェは。…話がある。」
真剣な顔の晋助に近寄る。
またあの話だろうか、それとも神威達との関係について…?
「…迦葉。」
『なに?』
引き寄せられ、壁際に追いやられた。
そのまま顔の横に手を付き、足の間に晋助の足が置かれる。
ドラマで見た。壁ドンとかいうやつ。
『え…動けねェけど…』
「呑気だなァてめェは。…地球でもああやって色んな奴誑かしてんのか?」
『はァ…?んなことした覚えは…ん、ふ、』
突然顎を押さえられ、口付けをされる。
「…他の奴らがてめェをそういう目で見やがる。俺ァそれが気に食わねェ。…迦葉、お前は俺だけを見ていてくれ。銀時なんか見てんじゃねェ。」
『しん…すけ…どうしたんだよ、急に…』
「もう我慢ならねェ。…好きだ、迦葉。俺のそばにいてくれ。」
…好き。晋助が、おれを。
昔のような優しい目でおれを見ている。割れ物でも扱うかのようにそっと頬に手を触れる。
なぜか、左胸の奥が痒い。
顔が熱を帯びる。
『…?え、あ…?』
「神威とは随分反応が違うな。」
『わ、わかんねェ…晋助、おれ、どうしたら…』
「今すぐどうこうできるなんざ思っちゃいねェ。お前のその顔見れただけで今日は満足だ。とりあえず、地球に戻るまでは俺のそばから離れるんじゃねェ。」
『わ…かった…』
満足そうに笑うと、また唇を重ねてきた。
今度は長く。押し返そうとするおれの手を掴み、指を絡めて握りしめる。
触れる全てが熱い。
不意に晋助の膝がおれの股座を刺激した。
『…ん、ぁ…し…すけ…やめ…』
全身の力が抜け、自分の口から妙な声が洩れる。
「は、迦葉…迦葉?」
一気に2人から告白され、知らない刺激に耐えきれずそのまま晋助に倒れ込んで意識を手放した。
「…お預けじゃねェか。」
船は地球に停まる。また来る、と言い残して。
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時