検索窓
今日:20 hit、昨日:223 hit、合計:6,981 hit

夜の蜘蛛は縁起が悪い ページ12

地雷亜に木刀を叩き込む。相変わらず音もなく現れる苦無が何度か体に突き刺さった。
視界が揺れる。

「迦葉!」
『…目ェ閉じてろ。すぐ、終わらせてやるから…1人にはしねェ、大丈夫だ。』
「強がるのも大概にしろ。ふらついているぞ。」

余裕そうに近付いてきた。月詠を背に、攻撃を弾く。
互いの体に赤い線が刻まれる。

「…ッ、銀時、迦葉を…助けてくれ…」

月詠の呟きが聞こえた。直後、後ろから飛んできた木刀が地雷亜の肩に突き刺さる。

「…汚ェ手で、触れんな。」
『…銀。』

そのまま俺の前に立ち、地雷亜と対峙する。

「いいか月詠。1人で何もかも背負おうなんざ、水くせェじゃねェか。てめェを捨てて潔く綺麗に死んでいくなんてことより、小汚くてもてめェらしく生きていくことのほうがよっぽど上等だ。」

…なんだかおれにも言われている気がして、思わず目を逸らした。

「迦葉。俺もお前と同じだ。だからここへ来た。なんで1人で先走ってやがる。なんで1人で戦ってやがる。離れるなって、言ったはずだ。」
『…うるせェ。体が動いてたんだ。ひとたび師と名乗っておきながら、弟子裏切る奴がいるなんてよ。…銀。おれから離れんなよ。』
「そいつァ俺のセリフだ。地雷亜、巣に掛かったのはてめェのほうだ。俺の巣、土足で踏み荒らしたからには生きて出られると思うな!」

共に木刀を構える。
室内に糸を張り巡らせた地雷亜が僅かに動揺した。
喰い合い、だ、



素早い地雷亜になんとか反応する。おれ達の攻撃が当たらない。ならば、と飛んできた苦無を掌で受け止め、糸を引っ張り相手の手に巻き付けた。

『…はッ、捕まえたァ!』
「またんなことやりやがって…迦葉!そのまま寄越せ!」

伸ばされた銀の手にも糸を巻き付ける。苦無を引き抜き、2人から距離を取った。
銀の反撃が始まる。逃げられないまま木刀で殴られ続ける地雷亜。
立っていられなくなったおれは、その場に膝をついて銃剣で地雷亜の苦無を弾いた。

「なぜ…お前達が…俺と拮抗する力を…俺は…全てを捨ててきた…なのになぜなんだ!」
「まだわからねェのか…お前が捨てたもんの中には、大切な荷も混ざってたんだよ…臆病者の相手は、臆病者で十分だ。てめェの相手は、この俺で十分だ。てめェに師匠の名を語る資格はねェ!」

松陽の背で揺られ、歩いた時を思い出す。

『…てめェに、荷ごと弟子を背負う背中があるか。』

銀の頭突きが地雷亜を捉えた。

夜の蜘蛛は縁起が悪い→←往時。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。