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「おはよう」

つとめて明るく、彼女はそう言った。数時間しか眠れていないのだろう、目元には隈が隠し切れていない。頭に巻いていたタオルを解いて、Aは首にかけた。

「おはよう♤」

ボクも、穏やかに返した。

「コレ、洗っておくよ♢」

先程まとめた服の籠を指差すと、Aは首を振った。

「いいよ、捨てておいて。着替えはあるし」

そんなの、ダメだ。どんな事をしたって、昨晩のことは覆らない。

「……嫌だったのかい?ボクは、」

「傲慢だよ、ヒソカ」

珍しく、Aが言葉を被せた。

「あなたが、私にした事を忘れるな。私もこの先、ずっと覚えている」

返す言葉もなく、ボクは項垂れた。しかし、胸の(うち)にくすぶるこの熱は何なのだろう。

「さぁ、裸でいると風邪ひくよ。まずはシャワーを浴びておいでよ」

今度こそ、Aは笑った。ベッドに座ったままのボクの腕を引いて立たせると、背を押してシャワー室へ叩き込まれた。

「何か美味しいものを用意しておくとも」

シャワールームのドアをカシャンと閉めて、Aの足音が遠ざかるのを確認すると、ボクは壁にずるするともたれかかった。

腰に触れられていたAの掌の温かさを思い出して、じんわりと背筋に甘い電流が流れた。


いつもより時間をかけて身体を洗うと、頭もすっきりした。髪もガシガシタオルで拭いてあらかた乾かした。

部屋に戻ると、バターの融ける良い匂いがした。

「A、ありがと♡」

「ああ、ヒソカか。シャワーあがったんだね」

顔だけ振り向いて、Aは視線を手元に戻した。キツネ色のトーストが湯気を上げている。

「フレンチかい?」

「そう。あとは卵だけ」

色とりどりの野菜を添えて、ボクたちは食卓についた。どちらも言葉を発さずに、静かに食べていく。あっと言う間に皿は空になった。

「ご馳走さま、A♢片付けは、ボクがやっておくよ♡」

「じゃあ、お願い。私はコーヒーでも淹れておく」

Aがポットを手に取ったとき、ようやく彼女が髪を上げていることに気がついた。首の生え際からは、匂い立つような色香すら感じさせる何かがある。

見惚れているうちに、Aが視線に気がついて、ボクらの目が合った。半開きの唇に、吸い寄せられるようにボクはくちづけていた。

やってしまった、と気づいた時には遅かった。

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Ash(プロフ) - かなめさん» かなめさん、こんにちは。更新遅くなってすみません。ヒソカ推しの同志がいてくれて嬉しいです。 (3月19日 11時) (レス) id: 15c859a546 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ(プロフ) - 更新お疲れ様です!ヒソカ推しなのでかっこいい姿が沢山あって嬉しいです (3月16日 12時) (レス) id: 70bd3babc7 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - スーパーヒソカタイムめっちゃ笑いました!!更新がんばって下さい! (2018年3月10日 21時) (レス) id: 2984f0eef0 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - キングダムっぽい技ですねwトーンタンタンは技の掛け声として最高です!w楽しく読まさせていただいています!がんばってください! (2017年11月24日 22時) (レス) id: a0856aab8c (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - 待ってますね!頑張ってください! (2017年11月22日 18時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Ash | 作者ホームページ:vhttp://  
作成日時:2017年10月28日 5時

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