144 ページ44
愛しい相手に心から贈るような、そんな優しいキスだった。相手を飲み干そうとするような、渇きは存在しなかった。
触れていたのは一瞬で、すぐにヒソカが離れて、絡んでいた前髪も解けた。
「…殺したいほどキミが好きだ」
「私も。一昨年に貴方と会った時から…」
不倶戴天、とはまた違う私たちの奇妙な関係。光を受けて、舞う埃がキラキラと輝いていた。
「“
アベンガネと合流して私が連れてこられたのは、廃れた教会の跡地だった。あの後すぐ、大天使の息吹の交換券が大天使の息吹のカードに変わったため、ゴンやキルア、ビスケが
アベンガネは最初に選考会場で見かけた時と同じような服装に戻っており、全身を覆うのはやめていた。
神父が説教する台も信者が恭しく聞くための長椅子も無い。所々ひび割れたタイルが床の侘しさを語っている。
「……遅かったな、ヒソカ」
「お待たせ、クロロ♤」
何ごともなく挨拶を交わしたクロロは、私とアベンガネを交互に見た。
「こんな場所で再会するとはな。鎖野郎は…、いや」
やめておこう、とクロロは言葉を切ってヒソカに顔を戻した。実はゲームを出てからクラピカに、ヒソカの目を盗んで一度電話をかけたが繋がらなかった。
彼の宿敵に、結果として加担したという事を一言でいいから謝りたかった。「鎖野郎」の名をクロロが口にした時、正直私は表情を取り繕えていなかったのだ。それを察して、クロロは追及するのをやめた。
「除念は、
教会に残るよう目配せして、ヒソカは窓枠に腰掛けた。彼の真正面に仁王立ちして、アベンガネとクロロが暗い森へ消えるのを見届けてから、私は
「いつでも仕掛けて来ていいよ。アベンガネの除念が終わるまで、退屈でしょう？」
トランプを弄んでいたヒソカの手が止まった。作りかけのタワーがパラパラと崩れた。
「……どういう、
訝しげに細められた瞳に、欲求が過ったのを私は見逃さなかった。
「私に
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ash(プロフ) - かなめさん» かなめさん、こんにちは。更新遅くなってすみません。ヒソカ推しの同志がいてくれて嬉しいです。 (2020年3月19日 11時) (
レス) id: 15c859a546 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ(プロフ) - 更新お疲れ様です！ヒソカ推しなのでかっこいい姿が沢山あって嬉しいです (2020年3月16日 12時) (レス) id: 70bd3babc7 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - スーパーヒソカタイムめっちゃ笑いました！！更新がんばって下さい！ (2018年3月10日 21時) (レス) id: 2984f0eef0 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - キングダムっぽい技ですねwトーンタンタンは技の掛け声として最高です！w楽しく読まさせていただいています！がんばってください！ (2017年11月24日 22時) (レス) id: a0856aab8c (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - 待ってますね！頑張ってください！ (2017年11月22日 18時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
