57.溢れる涙 ページ17
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「時透君!鬼倒したよ!生きてる!!?」
「耳元でぎゃんぎゃん騒がないでよ。傷に響くしうるさい。ちょっと黙ってくれない?」
「生きてた"っ!!」
地面に横たわっている時透君の安否を確認すれば、自然と自分から漏れる歓喜の声。そんな私にハイライトの入ってない目で何かを訴えかける時透君。
私には分かる。これはうっせぇよの目だ。
「ごめんね!私が気を抜いたりしたから!傷が残ったら私が責任取ってお嫁に貰うから!!」
「貰ってくれなくて結構だから」
「ごめんね、本当ごめんね」
「・・・」
見るに耐えない傷が多く出血も凄い時透君の体。人の傷というものは中々ぐろくて目眩がしてくる。
しかも私を庇ったせいでこんな傷を負ってしまったんだ。本当に何度謝っても足りない。ありがとうの一言を言いたいのにごめんしか出てこない。
良く分からない涙が出てくる。これが時透君の痛ましい傷を見てなのか、自分を責め立てる気持ちから出たのかは良く分からない。きっとどっちもなのだろう。とにかく何かが悲しかった。
「なんで泣くわけ」
「だってっ、私のせいでこんな傷!傷が残ったりしたら本当私!ごめんごめんね!!……ひっ、んぅ」
「おかしな子だね。君は」
「だってええ!!うぇっ、ひ、……うぅ」
「君がそんなじゃ調子狂うんだけど」
一度溢れた涙が二粒、三粒と増えていく。涙が止まらない。私が何にこんな悲しんでいるのか自分でももはや分からない。
時透君の傷を見てると涙が流れてくるのだ。もし此処で時透君が死んでしまっていたら?そう考えると身の毛がよだつ。君は絶対死なせない。もうこんなヘマはしない。
そんな事を思っていれば、時透君が口を開いた。
「今の君を見てて思ったんだけど」
「う、ん?」
「僕、君の涙嫌いだ」
「え"ぅ・・・!!!!」
時透君の容赦無い毒舌におかしな声が出た。びっくりしすぎて喉に鼻水が詰まったのだ。
嫌いってそんなはっきり言われると流石のAちゃんでもキツイよ。ちょっと放心状態よ。
「き、きら、嫌いって」
「涙流してる君は不細工で好きじゃない」
「不細工!!!??」
「でも笑ってる姿はまだマシ。そんなごめんね連呼されても困るし」
「ごめ、あっ」
「・・・・・・A」
霞みがかった瞳が私を捉えながら、時透君は私の名前を呼んだ。
初めて、名前で呼ばれた。
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うえ - んぎゃ..鬼にまで好かれるとか最高すぎんか..待ってます!! (1月5日 9時) (レス) @page36 id: 9aa429e4c8 (このIDを非表示/違反報告)
さめしゃち?(プロフ) - あっ好きです(急)結婚しましょu(((((( すみません取り乱してしまいました^ ^めっちゃにやにやしちゃいましたww更新待ってます!!!! (5月7日 21時) (レス) @page36 id: 94eab444ed (このIDを非表示/違反報告)
Komachi(プロフ) - ふづきさん» あ、へ?え!?なんか褒められました!?あざさです!(?)めっちゃ嬉しいです!(なんのことかよくわかっていない件について) (2022年3月6日 1時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
ふづき - Koma?♂さん» がちでおもしろすぎるww文書く才能ありすぎです (2022年3月6日 0時) (レス) @page36 id: 3d9c5132e5 (このIDを非表示/違反報告)
Koma?♂(プロフ) - ぁぁダァダダァぁ!好きです!もうこういうのをまとめてました!更新頑張ってください!応援してますぅ (2021年11月3日 22時) (レス) @page36 id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにゃねこ44 | 作成日時:2019年8月13日 2時