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鏡の中の少女は呟く(1) ページ1
「鏡よ鏡、今日も遊びましょ？」
5歳の少女は毎日鏡につぶやく。
反転する鏡の中の自分に向かって。
鏡の中の少女は自分と同じように口を開いて呟いている。
少女は一人で大きなお屋敷の中の畳の間に座っている。
誰もいなくなったお屋敷は周りの人から避けられていた。
そして人々は噂する。
あの家には一人の子供の幽霊がいる、と。
誰もいないお屋敷で少女はずっと誰かを待っていた。
それまでずっと鏡とおしゃべりをしながら。
することのない誰かをずっと待っていた。
ある日、数人の大人たちがお屋敷にやってきた。
ここの土地が買い取られたから。
そして大人たちはみた。
畳の間の鏡の前で蹲り、一人ひっそりと息を引き取った少女を。
続く
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作者名：クロノバ | 作成日時：2023年4月2日 19時
