数学教師のもうひとつの顔【２】

よんじゅうよん ページ4

太輔くんと北山先生は出演者の方へと、
私はカメラマンさんの近くに用意されてる椅子に
案内された。





「本番いきます！！５秒前、４、３、２……。」



そのスタッフさんの声の後、
私がよく知ってるあのイントロがかかった。

目の前には女子アナさんと、
あの超有名なサングラスの司会者の人がいる。



その２人の会話を聞きながら、
私の周りにいるスタッフさんを見る。

生放送だからか緊張感のある顔をしてるけど、
とても生き生きとした顔もしてる。



きっと、全員がこの仕事にやりがいを感じているんだと思う。

この仕事が大好きなんだ、って伝わってくる。




それはスタッフさんだけじゃない。
今出てきているアーティストの人たちもだ。

みなさんイキイキしてて、笑顔で。




こんなふうに、何かを本気で取り組めること。

何かにやりがいを持てること。

すごくいいな、って思った。




続々と出てくるアーティストさん。


一番最後に
「藤ヶ谷太輔＆北山宏光」
って呼ばれて。


太輔くんと北山先生が入ってきた。



太輔くんはピンクのヒョウ柄のジャケット。

北山先生は赤い革ジャンに、ジーパン。

いつもと違って髪の毛もしっかりセットされてるから、さらにかっこよく見える。



お客さんがキャーキャー、と２人を見て叫ぶ。



でもさっきまではモヤモヤしてた気持ちが、
今は一切ない。



それはきっと、
北山先生が私と目をこっそり合わせて
にこってしてくれたから。

たったそれだけで、私は安心できた。

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