社畜はメイドに恋をする。【観音坂独歩】

九歩目 ページ10

「ぁ、Aちゃん！今日"あの日"だから、よろしくね！はい、これAちゃんの分ね。」

「…わかりました。が、頑張ります！」

「うんうん、今日も頑張ろ〜」

「はい…。」


わ、忘れてた。普通に今日シフト入れちゃったけど、"あの日"なの忘れてた。
今日は独歩さんが来ませんように……。








＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿...




「独歩、お出かけ〜？最近めっちゃ調子いいじゃん！」

「あぁ、今日も夜には帰ってくるから。少し出かけてくる。」

「うぃーっす。いってらー」

「行ってきます。」




街で会えたあの日から、1ヶ月くらいは経った。今日はやっと取れた休み。まぁ、有給休暇なんだが…。
それでも俺の癒しが待っている。
今日も天使に会いに行くために気合を入れて家を出た。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿..





カランカランッ♪




「お帰りなさいませ、ご主人様」





扉が開く音が聞こえ、体の向きをかえて挨拶をしたらそこには独歩さんが立っていた。




「…た、ただいま。」

「ぁ、ぇっと、」




ただいま、と言ってくれたのに私は恥ずかしくなり咄嗟にカウンターの方に走りしゃがんで隠れてしまった。

すると違うメイドの子が独歩さんを何故か私が隠れてるカウンターの前に案内してしまった為、独歩さんからは私の頭が見えている状態だった。





「えと、、Aちゃん？」

「な、なんで今日来ちゃったんですか。」

「やっと、取れた休みで……その、可愛い、ね。今日。いや、今日もなんだけど。」

「恥ずかしいです……。」

「そ、そんな事ないよ！今日はラッキーだ。」

「……。」




褒めてくれてるのにさすがにずっと隠れてる訳にはいかない。私は決意して独歩さんの前に姿を現した。目が合うと照れながら優しい笑顔を向けてくれていた。



私がなんでこんなに今日は恥ずかしがってるのか、それは月に1度あるイベントでメイドの子達皆が『うさ耳』を付けて接客をする日だからだった。

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