23 其々の立場 ページ8
『なあ、俺はあんたらの敵なんだが。』
グルッペンの命令だとしても、何故こうして態々丁寧に自分に治療を施しているのか。
いつかの腕を治してもらった時とは、訳が違う。
Aはしんぺい神に素直な疑問をぶつけた。
その問いにしんぺい神は「んー、」と一呼吸置いて、続ける。
sn「俺は医者やからなぁ。人を助けるのが役目やから。国とか、そんなん関係あらへんよ。」
柔らかく、子供を諭すような優しい声色で返された答え。
以前の自分だったなら、反吐が出る、と一蹴していたのだろうか。
頬の傷を手当てしながら、しんぺい神は「その鬱血している手首も見せて。診てあげる」と手をとった。
おそらく手枷を無理に引っ張った時についたものだろう。
―――――
sn side
先程の会議を思い出す。
目の前のハタチそこそこであろう青年が、あれ程過酷な境遇を経て此処に要る…等、
誰が想像できただろう。
(この子に必要なのは怪我の手当てより心のケアやろうなぁ…)
『何で……ｯお前達は揃いも揃って、俺を生かそうとする…?』
「……!」
頭上で聞こえた彼の声がほんの少し震えていて、
思わず顔を上げれば、……驚いた。
すぐに背けられてしまって一瞬しか見えなかったが。
その頬に伝った一筋の跡は、きっと―――
窓から入る夜風でふわりと揺れた髪につられ、思わずその頭を撫でてやれば、
おい。と露骨に嫌そうな反応を示され手をはたかれた。
(本当に警戒心が強い子や…
俺が殺気どころか敵意も完全に消して接してる事を、それだけ長く軍人をやっていて気付かない筈が無いだろうに…)
それでも、隙を見せたくないのだろう。
あちらの軍で過ごしてきた月日は、俺達が思うよりも心に深く根付いている様だ。
ふとAが窓の向こうに意識を向けた。
向かいの棟で、コネシマとシャオロンが口論をしている様に見える…が、いつもの如くそれは内ゲバへと形を変えていく。
ガシャンとガラスの割れる音が聞こえ、部屋から出てきた鬼の形相をしたトントンから逃げる二人。
その様子を、Aはただぼうっと見つめていた。
先程自分がAに言った言葉に偽りは無い。
例え敵であろうが、自身の役目は殺生では無く命を助ける事。
だが、あの人はどうだろう。
グルッペンは、敵に情けを掛ける事等、しない。
怪我を治せと、医務室へ連れてくる事等、しない。
もう
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あ(プロフ) - 更新待ってます...。。 (2022年11月26日 18時) (
レス) @page46 id: f1c4052875 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 黒カビさ〜ん！お久しぶりでっす！僕が最近いなかった理由をまとめたので見てくれると嬉しいです (2020年12月19日 16時) (レス) id: d1b989425f (このIDを非表示/違反報告)
黒カビ(プロフ) - 桜良ゆきさん» 桜良ゆきさん、お優しいお言葉ありがとうございます…！；；亀更新となっておりますが、引き続き楽しんで頂ければ嬉しいですm(_ _*m) (2020年8月20日 15時) (レス) id: 0d84c7512f (このIDを非表示/違反報告)
黒カビ(プロフ) - Lunaさん» Lunaさん、おわーーーーコメ気付かず申し訳ない…！！；；；；亀更新となってしまってますが引き続き楽しんで頂けたら嬉しいです…！ (2020年8月20日 15時) (レス) id: 0d84c7512f (このIDを非表示/違反報告)
桜良ゆき(プロフ) - いつも更新ありがとうございます！作者様こそ体調を崩されないよう、お気をくださいませ！気長に待っております⊂((・▽・))⊃ (2020年8月15日 13時) (レス) id: 82b27650f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒カビ | 作成日時：2020年5月20日 17時
